今場所から春日野部屋の関取が不在になった。栃大海が幕下に陥落し、90年7カ月も続いていた春日野部屋の関取がいなくなった。これで、現在も継続している最長記録は、佐渡ケ嶽部屋となった。佐渡ケ嶽部屋は1958年11月以降、関取が途切れていない。

横綱琴桜、大関琴風、琴光喜、琴欧洲、琴奨菊、琴桜、関脇長谷川、琴ケ梅、琴富士、琴錦、琴勇輝…。そうそうたる力士たちが歴史を紡いできた。

自身も伝統をつないだ1人だった元関脇琴ノ若の佐渡ケ嶽親方は「順番だと思います。自分も琴ケ梅関や、白玉親方(元幕内琴椿)、粂川親方(元小結琴稲妻)に稽古をつけてもらって、引っ張り上げてもらった。それが今も続いています。琴奨菊が琴勇輝、琴恵光を引っ張って、琴勇輝も琴桜、琴勝峰を引っ張ってくれた」と説明した。

今も稽古場では荒磯親方(元琴勇輝)と尾車親方(元琴恵光)がまわしを締めて胸を出しているが、琴勝峰、琴栄峰には後輩を引き上げる意識をもっと持って欲しいという。

荒磯親方は、部屋一丸となることが自分の力をより引き出してくれたという覚えがある。ちょうど10年前の春場所は、大関琴奨菊が綱とりの場所だった。「自分がやることは上位をかき乱すこと。1つのチームだから、という意識が強かった」。その結果、横綱日馬富士を破って初金星を挙げた。「後輩を強くして、次の関取が誕生するまでやめられないと思った」と伝統の力も感じていたという。

67年以上も関取が途切れていない事実は、継続的な新弟子獲得と育成があってこそ。後援者も含めた部屋の底力でもある。佐渡ケ嶽親方とおかみさんは、新弟子が入ると前相撲の最初の一番を必ずそろって会場で見守る。「預かった以上は、かわいい弟子たちですからね。すべての子に『継続は力なり』と常に言っています」。記録が続いていることは、偶然ではない。【佐々木一郎】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

稽古を見守る佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)(2025年11月撮影)
稽古を見守る佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)(2025年11月撮影)
佐渡ケ嶽親方(左)の指導を聞く琴桜(2025年9月撮影)
佐渡ケ嶽親方(左)の指導を聞く琴桜(2025年9月撮影)