ボクシングのWBO世界スーパーフライ級王者井上尚弥(24=大橋)が、同級7位アントニオ・ニエベス(30=米国)に6回終了、相手陣営の棄権によるTKO勝ちで6度目の防衛戦に成功し、米国デビューで「怪物」と呼ばれるその実力を見せつけた。

 初回、ガードの上をたたきながらも、大きな重低音を響かす右ストレートなどでリズムをつかむと、後は一方的な展開に。「初回は相手もきていたけど、3回以降は一辺倒になってしまって、試合にならないと思った」。強打を警戒するニエベスが極端にガードを固めたが、そこを打開できるのも超一流の証し。5回には左拳を脇腹にのめり込ませてひざをつかせてダウンを奪う。6回にはさらにパンチが出せなくなったニエベスに対してグローブをこまねき、攻めを促す場面もあった。「来てほしかった。残念」と残念がったが、本場のファンへのアピールには十分に成功した。

 新たな軽量級のスター選手として期待はさらに高まる。「顔見せ」を無事に終えて、さらに大きな舞台も待っている。「米国のリングの雰囲気は良かった。屋外で気持ちよかった。声がかかれば、またやりたい」と望んだ。