日本ボクシング連盟(山根明会長)が、アスリート助成金を不正流用するなどした疑いがあるとして、都道府県連盟の会長や理事長、歴代オリンピック(五輪)代表選手ら333人が日本オリンピック委員会(JOC)などに告発状を送った問題で、試合用グローブなどの不透明な独占販売の疑いも告発状で指摘されていることが30日、分かった。独占販売していた販売店の振込先口座は、山根会長の親族らの名義だったという。

 不正疑惑を告発した「日本ボクシングを再興する会」(鶴木良夫代表)の告発状によると、日本連盟は12年1月から、今年5月の日本連盟総会で独占販売疑惑が指摘されるまで、兵庫県内の販売店1店だけに検定品を独占販売させていたという。関係者は「付き合いの長い県内のスポーツ店からも買えない状況だった」といい「その店の住所地には喫茶店があり、スポーツ店はない」とも明かした。

 販売価格は市場価格より2~3割高額だったという。振込先口座は12年は山根会長の孫の名義、それ以降は、山根会長に近い関西地方の連盟の元理事名義の口座だったといい、告発状は店を「トンネル会社」とした上で「(山根会長が)中抜きした利益を不正に取得している疑いが極めて濃厚」と指摘。JOCに対し、調査と処分を求めている。

 告発状では「審判不正問題」も指摘。山根会長が応援する特定の県の選手を「国体で2回ダウンさせられた劣勢の選手も勝たせた」(関係者)といい、劣勢だった特定の県の選手を判定負けにした審判を会場などでどう喝し、その後は審判をさせないなどパワハラの疑いも指摘。審判不正について「山根会長を始めとする日本連盟のいわゆるパワーハラスメントを恐れて、審判不正に加担することを余儀なくされている」としている。【清水優】