東京オリンピック(五輪)出場を目指す元世界主要4団体ミニマム級王者の元プロボクサー高山勝成(36=名古屋産大)がアマチュアデビューを白星で飾った。6日、愛知・名古屋市の名古屋工学院専門学校第3体育館で行われた国体・全日本選手権愛知県選考会に出場。フライ級(52キロ以下)で、ロペス・フェリペ(立命大3年)に3-0判定勝ちを収めた。

1ラウンド(R)は硬さが目立ち、サウスポーの相手に左ストレートを数発もらった。しかし、プロ39戦のキャリアを生かし、2Rですぐ修正。前後に加え、左右のフットワークでリングを広く使った。相手の懐に入ると、高回転の連打でポイントを稼ぎ、自分のペースで試合を進めた。

ジャッジ3者がフルマークの30-27をつけた。数字は完勝。ところが、自己採点は10点満点で「1か2です。良かった点は上下の打ち分けができたこと。悪かった点? 言いたくないです」と苦笑いした。

「全体的に感覚を取り戻せていないというか。練習ではもっと動けていた。まあ初物ずくめだったので」。2016年8月20日のWBO世界ミニマム級王者決定戦以来約3年ぶりの実戦だった。何よりプロとアマのスタイル、ルーティンが違う。2分3Rの短期決戦。使うグローブはサイズも形も違う。入場曲に乗り、控室から花道を通ってリングインしていたのに、リング下のイスで待機し、前の試合が終わったら、すぐ本番-。頭で分かっていても、実際やって初めてわかる部分は多かった。

高山は7日に藤原幹也(中大4年)と対戦する。勝てば、東海ブロック予選(8月31日~9月1日、岐阜工高)へ。その先が全日本選手権(11月20~24日、鹿児島・阿久根市)と続く。五輪出場にはまず全日本王者になり、プレーオフ(12月12日、東京・墨田区総合体育館)で9月の世界選手権メダリストに勝って初めて、来年のアジア・オセアニア予選兼世界最終予選切符が得られる。

「勝って反省できるのはいいこと。これからもしっかり、自分のボクシングをしていくのが大事」。では、自分のボクシングができれば、五輪キップ争いを勝ち抜けるのか? 「通用するかは、まだわかりません」。この日の相手は関西大学リーグ2部の選手。勝ち進めば、相手も強くなる。高いハードルがいくつもあって、しかも1敗もできない。長く険しい挑戦へ、高山が1歩踏み出した。