左膝前十字靱帯(じんたい)断裂のケガから10カ月ぶりにリングに戻ってきたYOH(32)が、復帰戦でIWGPジュニアタッグ選手権に挑み、新王者に輝いた。パートナーのSHO(31)と組み、金丸、デスペラード組に挑戦。左膝を執拗(しつよう)に攻められ、中盤以降は足を引きずりながらの戦いとなった。それでもこの日を待ち望んでいたSHOが、YOHに何とか3カウントを取らせようと、脇役に回り、必死にアシスト。久しぶりに連携技3Kも決まり、最後はYOHが、この日のために考えた新技のDIRECT DRIVE(ひねりを入れたDDT)でデスペラードを沈めた。

試合後ベルトを受け取ると感極まった。「応援してくれるファンがいたから、このリングに帰って来られた。不安だったけど、リングに上がったら関係なくて楽しかった」と笑顔で振り返った。昨年1月、4度目の王者に輝き、2度の防衛を果たしたものの、自身のケガでベルトを返上。責任を感じた。「悩んだし、悔しかったし、迷ったけど、その分たくさん練習したし、たくさん考えた」。人生初の入院、手術を経験。再起をかけ、夢中でリハビリに取り組んだ。SHOもそれに応えて努力を続け、今年2月にはIWGPジュニアヘビー級に初挑戦するなど成長した姿を見せた。

次のターゲットについてYOHは「今日がゴールじゃなくて再スタート。次に狙うのはIWGPシングルのベルト」とジュニア王者のデスペラードを前に堂々と挑戦状をたたきつけた。SHOも「YOHさんにシングルを取ってもらって、タッグチャンピオンベルトを巻いた同士で戦いたい」と野望を明かした。

ともに12年11月にデビューし、米国、メキシコと海外修業も一緒に行った。「心の底からパートナーがSHOで良かったと思った。感謝の気持ちを忘れず、プロレス頑張っていきます」。久しぶりのリングで、さらに深まった絆を感じたYOHは、次なる目標に進み始めた。【松熊洋介】