K-1の3階級制覇王者で現スーパーフェザー級王者の武尊(30)が頂上対決で約10年ぶりの黒星を喫した。

RISEフェザー級王者那須川天心(23)との58キロ契約体重3分3回(延長1回)に臨んだものの、1回に左カウンターでダウンを喫し、0-5の判定負け。15年11月、那須川による対戦直訴から所属団体の「垣根」などで実現していなかった待望のファイトだったが、12年6月以来の黒星で悔し涙を流した。

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1回残り10秒、武尊が一瞬の隙を突かれた。左カウンターをあごに被弾し、ダウンを喫した。2回以降、重圧をかけながら右ストレートを狙ったが、那須川に回避されて追い詰めきれなかった。判定負け後、目には悔し涙があふれた。リングから降りた後も涙が止まらない。最後は深々と一礼し、控室に戻っていった。

会見した武尊は「この試合を本当に実現できたことと、実現してくれた人たち、支えてくれた人たち、対戦相手の天心選手に心から感謝しています。僕を信じてついてきてくれたファン、K-1ファイター、ジムの人たち。そういう人たちには心から申し訳ないと思っています」と悔しさをにじませた。

昨年12月、対戦発表会見で「(那須川の)存在をうらんだ時期もあった」と吐露した。史上初となるK-1の3階級制覇を成し遂げた一方で、ライバル那須川との対戦は団体間の垣根が障害となって実現まで時間を要した。SNSで「那須川の方が強い」「(対戦を)避けている」などと誹謗(ひぼう)中傷めいた批判も発奮材料に変えて那須川戦に臨んだ。「試合は命の取り合い。負けたら死と一緒。後のことは考えていない」と退路を断ち、キック引退もにおわせていただけに今後が注目される。

◆武尊(たける)1991年(平3)7月29日、鳥取県生まれ。小2で空手を始める。11年9月にプロデビューを果たすと、15年4月に初代K-1スーパー・バンタム級王座決定トーナメント、16年11月に初代K-1フェザー級王座決定トーナメント、18年3月に第4代K-1スーパー・フェザー級王座決定トーナメントで優勝し、史上初の3階級制覇を達成。プロ通算成績は41戦40勝1敗(24KO)。鳥取県米子市首都圏観光大使、とっとりふるさと大使。20年3月に始めたユーチューブの登録者数は23.3万人。168センチ。

◆THE MATCH 2022 格闘技イベントRIZINを運営するドリームファクトリー・ワールドワイドの榊原信行代表が音頭を取り、キックボクシング主要団体となるRISE、K-1が全面協力。東京ドームを会場に那須川天心-武尊戦の注目対決メインに決めた。その後、選手の要望を受けながら2団体を中心としたファイターたちで全15試合がマッチメークされた。当初はフジテレビが地上波で中継する予定だったが、総合的な判断から取りやめとなり、ABEMAのPPVライブ配信された。

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