昨年10月1日に心不全のため79歳で死去した元プロレスラーのアントニオ猪木さん(本名・猪木寛至)が叙位・叙勲を受けた。

位階は「従四位」、勲章は「旭日中綬章」。23日に猪木さんの弟の啓介さん、孫の寛太(ひろた)さんが都内の参議院議員会館で会見を開き、この日に位記、勲記勲章を受けたことを報告した。

両者ともに猪木さんの闘魂を示す赤いネクタイ姿で会見。啓介さんは「夢にも思っていなかった。こんなに素晴らしい名誉ある勲章を受けて光栄。ブラジルやパキスタン、キューバ、北朝鮮を含めていろいろな勲章を受けていますが、日本人なので日本で頂くことが一番の名誉。兄貴も誇らしく思っていると思う」と、目に涙を浮かべながら感謝の言葉を並べた。

1月23日は、猪木さんの決めぜりふ「1、2、3、ダァーッ!」にちなみ、また、最大のライバルでタッグ「BI砲」としてともに活躍した故ジャイアント馬場さんの誕生日に当たる日だ。このことについては「たまたま偶然。決して馬場さんとは不仲ではなかったということ」と笑顔だった。

孫の寛太さんは、猪木さんの娘寛子さんの長男。米ロサンゼルスで大学に通う。海外生活が長いため、日本語と英語を交えながら質疑に応答した。9歳の時にホテルでお昼ご飯を食べた事が思い出に残っているとし、「母も弟もすごく喜んでいます」と感謝した。自身も「今はやっていないが将来はボクシングをしたい」と話した。

猪木さんの叙位叙勲は16日に猪木さんのマネジメントを務めるIGF(猪木元気工場)が発表した。授与日は亡くなった日にさかのぼる。日本人プロレスラーとしては初の快挙。政治家としても活躍し、国や公共に対する功績を評価された。

◆旭日中綬章(きょくじつちゅうじゅしょう) 勲章には大勲位菊花章、桐花大綬章、旭日章、瑞宝章、文化勲章などがある。旭日中綬章は旭日章6つのうち3番目。「国家又は公共に対し功労のある方」が対象。昨年秋にデザイナーのコシノジュンコさん(本名・鈴木順子)や漫画家の萩尾望都さんらが受章。