宣言通り、アイドルレスラーを粉砕した。

女子プロレス界のレジェンド、アジャコング(52)が、SKE48荒井優希(24)との初のシングルマッチで勝利した。“定番”の一斗缶攻撃もさく裂。荒井の得意技「Finally」を封じようと右足を積極的に狙った。その後、脳天からたたき落とし、荒井を粉砕。最後は垂直落下式ブレーンバスターを決め、3カウントを奪った。

決して“余裕勝ち”ではなかった。「小細工せずに真っ向勝負で来るとは」。相手の作戦が見え、技を浴びてもうまく逃げながら体力温存し、勝機を見いだした。ところが「油断した」というエプロンで「Finally」をまともに浴び、ピンチに。場外カウント19でなんとか戻ったが「正直追い込まれると思っていなかった」とホッとした表情を見せた。さらに「今後の彼女が恐ろしくなった」と荒井の成長を認めた。

21年10月にタッグマッチで初対戦。デビュー半年の荒井にプロレスの厳しさを教えた。今年2月に1年半ぶりに再び相まみえた。この試合で荒井の闘争心に火が付き、シングルでの対決となった。

経験も実力差もあるが「リングに上がって相対した人はみんなプロレスラー。いつやられるか分からない危機感がある」と対策を考え、貪欲に勝ちを求めた。大会前には「対戦相手に期待は感じない。邪魔な存在。全力につぶしに行く」と闘志をむき出しにした。「レジェンド対アイドル」という世間の見方を変えるべく、手加減せず一斗缶も脳天から豪快にたたき落とした。

レジェンドの立場であるが、おごりはない。「東京女子ではない私が、重要な一端を担わせてもらうことはありがたい話」と感謝する。荒井との対戦がプロレスを広めるきっかけになればと考える。「客寄せパンダかもしれないが私は大好き」。立場をわきまえ、プロレス界の発展のために、これからもリングに上がり続ける。