ムエタイの天才・吉成名高(23=今大会は所属ジムの名前をつけた名高エイワスポーツジムとして出場)が、ラジャダムナンスタジアム認定スーパーフライ級(115ポンド=約52・16キロ)正規王者に輝いた。
ムエタイ(タイの国技で両手、両肘、両足、両膝を用いて戦う立ち技打撃格闘技)の聖地ラジャダムナン・スタジアムで行われる大会ラジャダムナン・ワールドシリーズ(RWS)日本初開催大会が後楽園ホールで行われ、同級暫定王者だった吉成は、正規王者プレーオプラーオ・ペップラオファー(タイ)と王座統一戦(3分5R)で対戦。圧倒的な内容の判定3-0(ジャッジ3人とも50-44)で勝利した。
すでにミニフライ級、フライ級を制している吉成は、スーパーフライ級暫定王者となった時点で記録上は3階級制覇だったが、正規王者となったことで、晴れて真の3階級王者となった。
吉成が1Rからプレーオプラーオを圧倒した。ボディへのパンチから、左右連打を集め、左ローキックでなぎ倒してダウンを奪うなど、KOまであと1歩のところに迫った。2Rに入ると正規王者は鬼の形相で前に出てきたが、吉成はカウンターの肘で対抗。そこからパンチの連打につなげて再びプレーオプラーオをふらふらにさせた。
「1回KOを狙いにいって、でも1Rで打ち疲れしちゃって」という吉成は3~5Rは、追ってくる正規王者の攻撃をさばき、的確なパンチ、肘を返し続けた。最後まで前に出続けた正規王者の意地はさすがで、吉成はKO勝利を逃したが、技術的には1枚も2枚も上だった。
吉成は「プレーオプラーオ選手は本当に気持ちの強い選手で自分も何度か心が折れそうになりしたが、皆さんの声援が力になりました」と試合後、ファンに感謝した。
いろいろなピンチから日本を救った。メインカードとなっていた日本対タイ対抗戦7試合のうち、吉成の試合までに日本チームで勝ったのは女子の伊藤紗弥だけ。吉成が負ければ男子は全敗というピンチだった。
「日本人の今日出た選手はみんな日本のムエタイのトップの選手だと思うんで。その選手たちがタイのRWSの常連選手たちと試合をして敗れてしまって。しかも日本の地で負けてしまったということで。日本人のみなさんは僕たちの勝利を期待してくださる方がほとんどだと思うので。そこで自分は絶対勝たなきゃいけないっていう気持ちはよりいっそう強くなりました」と決戦に臨んでいた。
また、1月28日に有明アリーナで行われたONE日本大会で、武尊がONEフライ級キックボクシング世界王座戦でタイ人の王者スーパーレックに判定で敗れた。さらに今月10日のシュートボクシングでは70キロ級で日本最強と言われている海人が、こちらもタイ人のペットモラコットに判定負けした。
「武尊選手と戦ったスーパーレック選手、海人選手とやったペットモラコット選手、もちろんタイでも本当にビッグネーム。今回、僕がやったプレーオプラーオ選手もビッグネームで。特にペットモラコット選手はペッティンディージムで、プレーオプラーオ選手と同門なので、やっぱり勢いづいてきてたし、ペッティンディージムの会長も会場にいらしていたし。そこで気合の入り方も感じていたんですけど、そういうのもあって自分はもう絶対勝たなきゃいけないという気持ちがすごい強かったです」と振り返った。
後楽園ホールは1978年3月8日にレジェンド藤原敏男さんがモンサワン・ルークチェンマイに4R・KO勝ちし、ラジャダムナンスタジアム・ライト級王座を獲得し、ムエタイ史上初のタイ人以外の王者となった記念すべき場所。その場所で今度は「未来のレジェンド」吉成名高が日本人として誇れる偉業を再び打ち立てた。【千葉修宏】

