ボクシング4団体統一スーパーバンタム級王者井上尚弥(33=大橋)が、史上初の3階級4団体統一を達成した元最強王者の眼前で頂上決戦を制する。2日、東京ドームでWBA、WBC、WBO同級1位中谷潤人(28=M・T)との防衛戦を控え、4月30日に都内で試合前会見にそろって出席。昨年12月の現役引退まで米老舗専門誌ザ・リング選定のパウンド・フォー・パウンド(PFP)1位だったテレンス・クロフォード氏(38)が来場し「特別立会人」として見守る中、PFP2位の井上が同6位の中谷を倒す構えだ。
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32戦無敗同士、世界注目の頂上決戦を控えた井上は冷静そのものだった。3月6日のカード発表会見以来、55日ぶりとなる中谷との再会にも平常心を貫いた。
「(中谷は)非常に良い練習を積んできたなという印象を受ける。自分自身も本当に素晴らしい練習を積めてきた。トップ選手同士が戦えば、おのずとこんなに盛り上がる試合になるというものをみせたい」
創刊100年以上の歴史がある米老舗専門誌ザ・リング選定のパウンド・フォー・パウンド(PFP=階級の壁を超越した最強ボクサー)ランキングで井上は2位、中谷は6位。国内外から126人の報道陣が駆けつけたワールドワイドな会見となった。さらに試合当日、引退した昨年12月までPFP1位だった3階級で4団体統一を達成したクロフォード氏が来場すると判明。超VIPとしてリングサイドから試合を見守る。
井上は22年6月、24年5月と2度、PFP1位に選出。同氏とはPFP常連としてトップ3内でしのぎを削った。一方、中谷も同氏にあこがれ、井上撃破でPFP1位になることを目標に掲げる。両者にとって最高の「特別立会人」だ。勝てば3度目の1位返り咲きも期待できる井上は会見で「何を証明するか?」との問いに対し、キッパリと言った。
「まだまだ井上尚弥だというところを証明していきたい」。
興行をプロモートする所属ジムの大橋秀行会長(61)は「2人とも過去最高額(のファイトマネー)だと思う」と明かした。既に5万5000人規模で用意されたチケットは4月1日に完売した。「5月2日に向け、本当に人生を懸けてここまでやってきた。2日後に勝つ。それだけの気持ち」と井上。ホワイト&ゴールドにヘアカラーしたモンスターは最後までクールだった。【藤中栄二】
◆テレンス・クロフォード 1987年9月28日、米オマハ出身。7歳で競技を始め、アマ戦績は58勝12敗。08年3月に1回KO勝ちでプロデビュー。14年3月、WBO世界ライト級王座を獲得。15年4月、WBO世界スーパーライト級王座決定戦を制し、2階級制覇。17年8月に同級で4団体を統一した。18年6月、WBO世界ウエルター級王座を獲得して世界3階級制覇。23年7月に同級でも4団体統一。24年8月にWBA世界スーパーウエルター級王座を獲得し4階級制覇。25年9月、4団体統一スーパーミドル級王者サウル・アルバレス(メキシコ)を下し、5階級制覇と史上初の3階級4団体統一を達成。身長173センチの左ボクサーファイター。
◆パウンド・フォー・パウンド 異なる階級の選手を、体重差がなかったとして比較した場合の最強王者を示す称号。1950年代から米老舗専門誌ザ・リングが選定開始。同誌が複数の識者に意見を聞き、対戦相手を考慮に入れた試合内容、実力を評価し順位を決める。マイク・タイソン、ロイ・ジョーンズ、マニー・パッキャオ、フロイド・メイウェザーら歴代のレジェンドが1位の評価を得た。日本で1位を獲得したのは井上尚弥のみで2度。トップ10入りは山中慎介、内山高志、中谷潤人、井岡一翔、寺地拳四朗らがいる。
○…挑戦者中谷が仕上がりの良さをアピールした。前日計量を控え、体重はあと数百グラムまで絞れており、調整は順調。「このような場所に立てるボクサーは数多くない。充実したキャンプになった」と自信を見せる。4階級制覇へ「中谷潤人のストーリーをしっかり見せつけて、必ず勝ちたい。今まで積み上げてきた僕の人生、尚弥選手の人生がぶつかるのが5月2日」と決戦へ覚悟を口にした。

