幕内宝富士(28=伊勢ケ浜)の今年の漢字はある意味、今年の相撲界を象徴する1文字でもある。「団結の『団』です。やっぱり、部屋が1つになって戦えたので」。夏場所では弟弟子で関脇だった照ノ富士(24)が初優勝。九州場所では兄弟子の横綱日馬富士(31)が2年ぶりの優勝を飾り「チーム伊勢ケ浜」の結束の固さが広く認知された。

宝富士の今年の漢字「団」
宝富士の今年の漢字「団」

 「僕は何もやっていないんですけどね…」と苦笑したが、そんなことはない。名古屋場所で自己最高位を更新する小結に昇進。今年の目標を1つ達成した。4勝11敗と負け越したが、同部屋対決がない分、上位で勝つことは優勝争いをする部屋の力士にとっては大きな“援護射撃”だ。

 西前頭8枚目まで番付を下げた九州場所では10勝を挙げた。幕内上位で取る喜びを知っているからこそ、「早く上に戻りたい」と鼻息を荒くした。

 来年については「部屋の人で2回ぐらいは優勝するんじゃないですか?」と、まるで人ごとのように言う。自身の優勝について聞かれると「そうなるように、なんとか頑張りたいです」と、かなり控えめに意気込んだ。今年はとりわけ照ノ富士の躍進が目立ったが、個人でも、部屋にとっても充実した1年だった。来年は宝富士の躍進、となるか。【桑原亮】