十両力士の若隆景(23=荒汐)が10日、故郷の福島県に関取として凱旋(がいせん)した。

 大相撲の夏巡業は10日、福島県白河市で行われた。会場で一番の拍手を集めたのが、福島市出身の若隆景だった。関取衆の稽古で場内に響く「福島市出身、若隆景」のアナウンス、そして取組で巨漢の臥牙丸を寄り切ると、館内がわいた。

 朝稽古では申し合いの輪に加わり2番(1勝1敗)取り、しばらくして名古屋場所で初優勝した関脇御嶽海に胸を借りようとした。ところが、ここで土俵下の親方衆が“待った”。実は「(初めて参加した)巡業の疲れなのか、ここに…」と若隆景が指さした左のおでこに、腫れ物が…。「今朝、起きたらヘルペスができていて」。これに気付いた親方衆が「無理するな」とストップをかけた。

 そんなハプニングも、凱旋巡業に水を差されることはなく、取組後の花道奥ではサインや記念撮影に、気さくに応じていた。

 「やっぱり地元の声援を受けると、より一層、頑張ろうという気持ちになります。福島のなまりを聞いたら、懐かしい気持ちになりました」と若隆景。新十両だった5月の夏場所から2場所連続で勝ち越し中。着実にステップアップする。