関脇栃ノ心(31=春日野)が横綱鶴竜を立ち合いの左変化ではたき込み、10勝4敗。05年初場所の栃東以来となる史上5人目の大関陥落翌場所での返り咲きを確定させた。

王手をかけて3連敗し、やっと決めた。「勝ってよかった」と安堵(あんど)の笑みを浮かべつつ「悪いことしたね」とバツが悪そうだ。初黒星の8日目、土俵で右膝を打った。10日目の御嶽海戦は痛み止めの飲み薬と座薬を服用し、勝って王手をかけたが、夜に患部が腫れ上がり、水を抜いた。「力が入らなくなるから抜きたくないけど、痛くてね」。立ち合いで当たれなくなった。前日13日目は勝ったと思った一番が、行司差し違えで黒星に。この日の相手は過去3勝23敗の鶴竜…。心身ともにギリギリの中、苦肉の策の注文相撲で大関在位5場所でなし得なかった10勝目を手にした。

昨年、新大関で臨んだ名古屋場所で返り咲く。「みんなの応援のおかげ。土俵じゃ1人だけど、後ろにいっぱいいる。付け人、親方、後援会、僕の国の人。やっぱり勝たないと。(前回の在位中は)白星が足りなかった」。6月中旬には故郷ジョージアに1年ぶりに帰国。右膝負傷を治しながら、リフレッシュし、今度こそ“強い大関”になる。