大相撲の小結阿炎(25=錣山)が5日、研修会後に不適切な発言をしたことについて、日本相撲協会から口頭で厳重注意を受けた。

4日に東京・両国国技館で行われた全協会員対象の研修会に出席し、SNSの危険性に関する講義を受け、会場を引き揚げる際に報道陣の取材に対して「いろいろ勉強になった」と話した一方で「爆睡していた」「寝ていたので何も聞いていない」と発言。問題視した協会から、呼び出された。

この日正午すぎ、師匠の錣山親方(元関脇寺尾)と協会を訪れて謝罪。鏡山コンプライアンス部長(元関脇多賀竜)から厳重注意を受けた。両国国技館に入る際、阿炎は神妙な表情。芝田山広報部長(元横綱大乃国)によると「かなり厳しく(鏡山)部長から話があった。阿炎とは会っていないから分からない。師匠(錣山親方)とは顔を合わせたけど『大変申し訳ない』と言っていた」と明かした。

当事者意識を示せなかった。阿炎は昨年11月、当時十両だった若元春の手足をテープで縛った動画を、自身のインスタグラムに投稿。“悪ふざけ”動画はSNSで拡散され、ネット上では「暴力を連想させる」と批判された。その影響で協会員の個人的なSNS使用が禁止になる事態へと発展した。協会初となった4日のSNS研修も「はっきり言って本人には大きな責任があると伝えたかった」と芝田山広報部長。その矢先の失言だった。

「爆睡」の真偽について、同広報部長は「眠気に誘われても(講義中に巡回していた)若者頭や世話人が肩をたたく。寝ることはない」とした。

不適切発言について懲戒処分は下されない見通しだが、この日は八角理事長(元横綱北勝海)が不在だったため、後日行われる執行部の定例会議で議題に挙がる方向。芝田山広報部長は「厳重注意じゃなく教育しないといけない」と渋い表情。人気と実力を兼ね備える阿炎だが、またしても協会、ファンからの信頼を失う格好となった。