新型コロナウイルスの感染拡大防止により史上初の無観客開催となった春場所で、関脇朝乃山(26=高砂)が大関貴景勝を押し倒しで破り、事実上の大関昇進を決めた。昇進目安の「三役で3場所33勝」には1勝届かず。それでも相撲内容が評価され、日本相撲協会審判部の境川部長代理(元小結両国)が、大関昇進をはかる臨時理事会の招集を八角理事長(元横綱北勝海)に要請し、了承された。25日の臨時理事会、夏場所の番付編成会議を経て正式に決定する。

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朝乃山はどんな時でも真っ向勝負をする。小学4年から相撲を始めてから、立ち合いで変化をしたことがないという。「立ち合い変化で勝ってもそれは勝ちじゃない。自分の相撲じゃない。自分を否定することになる」。どんな相手でも仕切りの時には先に手をつき、全力で真っすぐ当たるのを身上にする。報道陣にもそうだ。朝稽古後、報道陣の囲み取材に応じると、どんな質問にもかわさずに素直に答える。20分ほどに及ぶこともしばしば。「もう他にありませんか」と気を使って聞いてくるほどだ。