綱とりに挑む大関貴景勝(26=常盤山)が、黒星発進となった。2連敗中だった小結翔猿(30=追手風)にはたき込みで敗れた。横綱照ノ富士の4場所連続休場により、今場所も出場力士で番付最上位。「1人大関」としての重い看板も背負いながら、自身の夢でもある横綱へ厳しいスタートとなった。

年6場所制が定着した1958年(昭33)以降に誕生した横綱は初代若乃花に始まり29人。そのうち綱とり場所で黒星発進をしたのはわずか4人(柏戸、栃ノ海、三重ノ海、千代の富士)。直近だと81年名古屋場所初日に隆の里に敗れた千代の富士までさかのぼる。

敗れはしたが、ここまで6場所連続で勝ち越し中と好調を維持している。最近4場所では全て2ケタ白星を挙げ、直近2場所は連続12勝で、優勝同点(九州場所)、優勝(初場所)の好成績を収めている。大関で優勝同点→優勝の翌場所も大関だったのは、ともに後に横綱となる初代と3代目の2人の若乃花以来3人目だ。横綱昇進には「2場所連続優勝もしくは、それに準ずる成績」という横綱審議委員会の内規があり、2場所連続優勝なら場所後の横綱昇進は濃厚という状況だ。

場所前の取材に応じた佐渡ケ嶽審判部長(元関脇琴ノ若)も「貴景勝らしい相撲をとって優勝すれば、そういう話になってくると思う」と期待を寄せていた。黒星発進となったが、これを引きずらず初白星へ、2日目に38歳ベテランの玉鷲(片男波)戦に臨む。【平山連】