3場所ぶりの出場の横綱照ノ富士(32=伊勢ケ浜)が復活優勝を果たした。

本割で霧島を寄り切りで退け、琴ノ若との優勝決定戦に臨んだ。決定戦では寄り切りで破り、昨年夏場所以来となる4場所ぶり9度目の賜杯を抱いた。優勝回数ではモンゴル出身力士でかつて同じ伊勢ケ浜部屋に所属した元横綱日馬富士に並んだ。

年始めの場所を制したのは、3場所ぶりに戻ってきた横綱だった。7日目までに若元春と正代の平幕2人に敗れて稽古不足や戻らない土俵勘など不安を露呈したが、尻上がりに調子を上げて復活を印象づけた。

昨年はケガとの戦いの連続だった。腰の骨の一部が折れるなどして、15日間皆勤できたのは夏場所のみにとどまった。温かく見守ってきた横綱審議委員会(横審)も、長期休場が続く状況に、初場所に出場しなければコメントを出すとの方針を示していた。

決して万全ではない逆風の中で出場に踏み切った背景には、自分の殻を破りたい思いがにじむ。「なんとか15日間相撲を取り切れれば、また違う景色が見えてくるんじゃないか」「ケガと付き合っている段階で、こうなれば、こうできるとか。(休場中も)新しい自分のことばかり今まで考えていた。悪いように考えないように前向きになって、自分を必死に追い込んできた」。15日間相撲を取ることで、不調に終わった昨年の借りを返したいと燃えていた。

8日目から連勝街道を歩む姿に、師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)も「土俵に少し慣れてきた気がする。本場所が良い稽古になっているんじゃないか」と評するほど安定した。不安定な中でも、周囲をうならせる活躍。地力の違いを見せつけた。自身が常々目標に掲げているのが2桁優勝。4場所ぶりの賜杯で、年内の達成も現実味を帯びてきた。

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