今月の大相撲初場所中に引退した、元横綱の照ノ富士(33=伊勢ケ浜)が30日、東京・両国国技館で行われた年寄総会に、購入したばかりのスーツ姿で出席し、親方として初仕事に臨んだ。

ダークスーツに白のワイシャツを着て、新米親方らしく国技館の外から歩いて現れた。スーツは「今、買って、着替えたところ。きつい。作っているのが間に合わなかった」と、オーダースーツの完成前とあって、この日、購入したばかりの既製品を急きょ購入したという。スーツや靴などのサイズは「分からない」と話した。親方業については「仕事が何をするか分からないので、一から勉強」と、笑顔を交えて初々しく話した。

年寄総会後は、配布されたジャンパーを着て帰途に就いた。ジャンパーも「ちょっとサイズが小さいんだよ」と、192センチ、176キロの体には合っていないようで、苦笑いを浮かべた。

入れ替わる形で、初場所後に豊昇龍が新横綱に昇進し、93年初場所以来、32年ぶりに横綱が空位となる危機は免れた。豊昇龍は10日目から千秋楽の本割まで6連勝した上、優勝決定ともえ戦で連勝して昇進。その姿を照ノ富士親方は「よく粘った。集中力がよかった。頑張って相撲界を盛り上げてくれたら」と、同じモンゴル出身の後輩横綱を称賛した。

バトンタッチできたことに「(4日目を終えて2勝2敗で)引退を決めた時に(豊昇龍は)全勝。(もう一人綱とりの琴桜と)2人いたし、どっちかが上がってくれればと思っていた。やってくれるんじゃないかと思っていた」と、胸をなで下ろした様子だった。

自身は在位中、ほとんどを一人横綱として務め、豊昇龍も一人横綱からのスタートとなる。その難しさを問われると「相撲は勝ち負けだけじゃないと分かってくれれば」と、土俵内外で全力士の手本となる振る舞いを求めた。その上でアドバイスを送る可能性については「聞いてくれれば」と、疑問があれば、いつでも答えるつもりだ。

引退した翌日から、すでに伊勢ケ浜部屋で弟弟子の指導にあたっているという。「まだ(引退した)実感はない。まげがついているわけですから、お相撲さんとして見られる」と、心中は親方と現役の中間のようだ。引退相撲については「来年の1月場所後かな」と、1年後に予定していることを明かしていた。