大相撲の横綱豊昇龍(26=立浪)が3日、名古屋市の伊勢ケ浜部屋に出稽古し、ともに前頭の伯桜鵬、熱海富士を相手に計15番で12勝3敗と、上々の稽古内容を披露した。名古屋場所(13日初日、IGアリーナ)に向けて前日2日に宣言していた通り、この日から出稽古を開始。最初に選んだのは「三段目か幕下の時の(伊勢ケ浜部屋の)合宿以来」と、およそ6、7年ぶり、関取としては初めて伊勢ケ浜部屋の稽古に参加した。今場所から新たに同部屋の師匠となった1代前の横綱、伊勢ケ浜親方(元照ノ富士)らが見つめる中、屋外の土俵で大粒の汗を流した。
最初に指名した伯桜鵬には、計4番で全勝だった。2番目の相撲は、豊昇龍が手をつくのと伯桜鵬が土俵を割るのがほぼ同時で際どかったが、伯桜鵬は稽古後に「横綱の方が前に出ていたので」と、内容的に負けを認めていた。本場所では豊昇龍の2戦2勝で、今場所の対戦も予想される相手を、豊富な運動量から上手出し投げ、鋭い出足から寄り切りなど、本領発揮で圧倒した。
次に指名したのは、本場所で過去3勝5敗の熱海富士だった。苦手意識もあってか、立ち合いから圧力をかけられないと3敗したが、土俵を広く使って圧力をかけられても反撃して逆転など、動きの良さも随所にのぞかせた。稽古後、豊昇龍は「いいんじゃない。場所前だし、ケガしないようにして、いい相撲を取れればいいかなと思っていた。久しぶりに他の部屋の人と稽古した」と、帰るころには気温が35度近くまで上昇していただけに、気持ちよさそうに汗をぬぐった。
前日に推定1週間の出稽古漬けを宣言していたが、この日の出稽古先は、ギリギリまで決めていなかった。午前7時30分過ぎに、出稽古に同行することが決まっていた付け人の序二段北洋山が、名古屋市の立浪部屋に集まっていた数人の報道陣に「どこに関取衆が集まっているか知っていますか? 横綱が『(報道陣が)知っているかもしれないから聞いてきて』と言っていたので…」と、たずねてきた。そこから考えた末に、伊勢ケ浜部屋を選んだ。
もともと伊勢ケ浜親方は、同じモンゴル出身の後輩横綱に対し「いつも同じところに出稽古している印象がある。うちに来い」と、イベントなどで話しており、それを実現した格好となった。午前8時前に立浪部屋を出発した豊昇龍は「近かったから」と、最終的な決め手を明かした。ただ、伊勢ケ浜部屋は全45部屋の中で最多、力士33人の大所帯。一方で稽古開始は屈指の遅さの午前9時ごろながら稽古量は豊富。関取衆の申し合いが始まったのは、午前11時過ぎだった。
豊昇龍は8時30分ごろには、伊勢ケ浜部屋に到着。自身が土俵に入ったのは午前11時13分で、そこから相撲を取ったのは約20分間。それを大きく上回る2時間40分余り、新幹線で東京駅から新大阪駅に着くぐらいの時間、待つことになってしまった。これには豊昇龍も「立って待っているのが疲れちゃった」と、思わず苦笑いした。
伯桜鵬を指名した理由について「先場所、久しぶりにやったけど力がついている。今場所もやると思うから」と答え、実力を認めた。熱海富士を指名した理由についても「最近、負けているからね。いい稽古相手になってくれると思う」と、今後も稽古を続けたい意向を示した。「幕内力士が若い。最近、下から上がってきているから」と、先場所まで2場所連続で十両優勝の草野らも含め、胸を合わせたい相手が多いいう。それだけに「明日(4日)も来ると思う」と予告した。帰り際に伊勢ケ浜部屋の呼び出し、照矢に「もっと遅く来て大丈夫ですよ」と言われると、少しホッとした表情を見せた。「早くきすぎちゃったよ」と、再び苦笑いを見せながら引き揚げた。【高田文太】

