大相撲で力士生活20年目、34歳のベテラン十両竜電(高田川)が、親友の故郷で気を吐いた。13日、9年ぶりに行われた盛岡市巡業の朝稽古で、関取衆最多の13番取った。関取衆の申し合いでは2勝3敗。その後、大の里、豊昇龍の順に、両横綱に指名され、大の里には1勝3敗、豊昇龍には4戦全敗、合計3勝10敗だった。

両横綱から指名を受けたことには「ビックリしました。でも、うれしいことですね。なので、できる限りのことはやっていこうと思っていました」と、収穫の大きさを口にした。

2人の横綱から同日に指名されるという珍しい現象。「大の里関とは、前にも(仙台市巡業で)稽古して『今日もいいですか』と言われていたんですけど、豊昇龍関は急にですね。大の里関と(稽古が)終わって見たら、何か一瞬、目が合った感じがして」と、豊昇龍から土俵に上がってほしいジェスチャーを受けて、再び土俵回りに立っていた。

「(ジェスチャーをされた際に)斜め前に熱海富士がいたので、そっちかなと。どちらか分からなかったので、とりあえず上がって。そうしたら、やっぱり買われて(笑い)」。その豊昇龍には疲労もあって全敗だったが、大の里には持ち味の頭をつけて、じっくりと攻めながらまわしを引く、持ち味を発揮して1勝した。「粘りのある相撲を取れたかなと。まわしを取れれば相撲を取れるな、という感じですね。まわしを取るところまでの流れを、うまくできれば変わるのかなという感じですけど」と、幕内復帰が濃厚な来場所への手応えをつかんだ。

この日の盛岡市は、同じ中卒で入門した同期の十両錦木の故郷だった。以前の巡業の風物詩は、関取衆の申し合いの最初に土俵に立つのが竜電と錦木だった。もう1人、仲の良い同期の元小結松鳳山が引退するまでは、3人のうち2人が、その役割を務めていた。巡業先では、毎日のように3人で食事に出掛け「365日、芋焼酎」宣言の錦木に付き合っていた。

1人が引退していなくなり、幕内復帰を確実として故郷凱旋(がいせん)を楽しみにしていた錦木も、今回の巡業を途中離脱した。「普通に指名されただけなんですけど『盛り上げてくれ』っていう錦木の思いも背負って(笑い)。地元巡業があるからって、頑張っていたんですけどね。体のことだから仕方ないですけど、残念ですね」と、冗談を交えながらも、親友の故郷で誰よりも奮闘した。そして親友の故郷で、新たなモチベーションもできた。「また横綱に買ってもらえたらうれしいですね」。元松鳳山を含め、仲の良い3人の最高位は、いずれも小結。その中で頭一つ抜け出し、最高位を更新するために、若手のような貪欲さを取り戻していた。