大相撲の大関経験者で、西十両4枚目の朝乃山(31=高砂)が、再入幕への強い決意を明かした。30日、九州場所(11月9日初日、福岡国際センター)に向けて福岡市の部屋で稽古。九州入り直前の約1週間前には富山市の実家に1泊2日で帰省、21年8月に64歳で亡くなった、父石橋靖さんの仏壇に手を合わせた。誓ったのは今場所の十両優勝争いと、来年初場所の再入幕。父が生前、楽しみにしていた幕内での活躍を見据えた。

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少し迷ったが、意を決して朝乃山は語った。「先場所はけがなく、15日間取ることができました。見守ってくれて、ありがとう。来(九州)場所も2桁勝って優勝を目指し、良い年を迎えるよう頑張ります。また見守ってください」。今年最後の帰省と決め、約1週間前に実家に帰り、父靖さんの仏壇に手を合わせた。お盆休みに帰省した際は墓前で手を合わせたが、心の中で唱えたことを口に出したのは「記憶にない」という。目標は常に有言実行。再入幕への決意は強い。

父が亡くなった謹慎休場中も、今回の左膝の大けがからの再起の途中も「また幕内に戻って、優勝争いしたい」と常に語っていた。それこそが靖さんの願い。2度の三段目転落から関取に戻ったのも史上初で、番付を幕内まで戻せば空前絶後ともいえる。父のいる天国まで活躍を届けたい思いこそが不屈の闘志の源だ。

「良い年を迎えるためにも、1年最後の九州場所は再入幕できるような成績を残したい。10勝だと届かないかもしれない。優勝争いしたい」。自らに言い聞かせるように語った。7場所ぶりに関取として土俵に立った先場所は、しり上がりに相撲勘を取り戻した。原則、十両力士はロンドン公演不参加のため、10月はみっちり稽古し、体重はすでに先場所よりも8キロ増の173キロ。大けがのリハビリ期間に小さくなった胸板、腕回り、太もも回りが戻った。175キロ前後だった大関時代と遜色ない体だ。

年末年始は帰省しない予定のため、一足早く、実家で正月恒例の雑煮を食べてきた。さらに「しょっぱくて、ご飯がすすむ」という好物の卵焼きと、慣れ親しんだ母の手料理で活力も得た。「ここで終わりじゃないので」。再入幕後の来年初場所も見据え、走り続ける決意だ。【高田文太】