4年前に「このミステリーがすごい!」大賞となった倉井眉介氏の小説は、頭を斧(おの)でかち割る連続殺人鬼と、サイコパスの弁護士の対決を描いている。

そのおどろおどろしい作品を原作にした「怪物の木こり」(12月1日公開)のメガホンを取ったのが、バイオレンスの巨匠、三池崇史監督で、観る前からすさまじい展開を予感させる。

幕開けはカーチェイス。追跡車を故意に横転させ、運転者の素性を確かめると、主人公の弁護士、二宮は平然とその命を奪う。うつむき気味の顔の陰影が感情の無いサイコパスぶりを一気に印象づける。亀梨和也の目が怖い。

脳外科医の杉谷(染谷将太)を協力者に、二宮は冷酷に犯罪を重ねながらのし上がっている。そんな「無敵の男」に醜怪な仮面をかぶった男が襲いかかる。世を騒がせるシリアルキラー「怪物の木こり」で、図らずも唯一の生き残り証人となってしまった二宮の周りに警察の目が光り始める。

一見不規則に見える木こりの狙いは何なのか。なぜ二宮が標的となったのか。反撃をもくろむ二宮と、警視庁プロファイラーの戸城(菜々緒)がその謎に挑むのだが…。

同じサイコパスでも、冷徹な二宮とは違って、杉谷にはオタク気質のようなものがある。戸城は職業病のように真相解明のためには手段を選ばない。三者三様の異様なキャラの絡み合いに見応えがある。染谷は得意なオタク役を自在にこなし、飾りっ気を取っ払った菜々緒が魅力的だ。

唯一のピュアなキャラでアクセントとなるのが二宮の婚約者、荷見(吉岡里帆)で、「悪」だけでは割り切れない二宮の心の奥を映し出す役割を果たしている。非情の果てには救いもある。「アイドル亀梨」がこの役を引き受けた理由だろう。

過去の殺人事件の容疑者を中村獅童、執念の刑事を渋川清彦が演じ、作品の厚みとなっている。

斧を使ったアクションシーンの切れ味はさすが三池演出だ。【相原斎】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「映画な生活」)