ハリウッドでは一般的にテレビ俳優は映画俳優よりも格下と言われてきましたが、最近は映画俳優たちもこぞってドラマに出演するようになり、驚くほど高額なギャラを手にする時代になってきました。このほど、バラエティ誌がドラマ1話あたりの出演料ランキングを発表し、トップ3に輝いたのはいずれも映画スターでした。世界の市場を相手にしているアメリカのテレビ業界は、日本とはけた違いの制作費で知られていますが、最近はネットフリックスやアマゾンなど配信サービスもドラマに進出しており、主演俳優のギャラも破格になっています。今話題のドラマに出演する俳優たちは、1エピソードあたり一体全体いくら稼いでいるのでしょう。

バラエティ誌が発表したランキングで1位に輝いたのは、「ノーカントリー」(07年)でアカデミー賞助演男優賞を受賞したスペイン出身のハビエル・バルデムで、アマゾンがこれから配信予定のタイトル未定のドラマで1話120万ドルのギャラを手にしたとのこと。2位タイはアップルがこれから配信する同じくタイトル未定のドラマに出演するリース・ウィザースプーンとジェニファー・アニストンの110万ドルで、4位タイはドラマ「ウォーキング・デッド」のノーマン・リーダスと「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」のエリザベス・モスの100万ドルでした。

バルデムはアカデミー賞だけでなく、2010年には「BIUTIFUL ビューティフル」でカンヌ国際映画祭男優賞を受賞している他、ベネチア国際映画祭でも男優賞を2度受賞するなど高い評価を受けており、「007 スカイフォール」(12年)や「パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊」(17年)など大ヒット映画にも出演しているだけに今回の高額ギャラにも納得です。アニストンは1994年から2004年にかけて放送された大人気ドラマ「フレンズ」のレイチェル役でブレイクして映画界に進出したことで知られていますが、「フレンズ」最後のシーズンでは1話のギャラが100万ドルまで跳ね上がったと言われています。「キューティ・ブロンド」(01年)の大ヒットで一躍スターとなったウィザースプーンは、「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道」(05年)でアカデミー賞主演女優賞に輝いた名実ともに人気女優。昨年はドラマ「ビッグ・リトル・ライズ」でニコール・キッドマンと共演して話題にもなりました。3人はいずれもプロデューサーも務めており、ギャラとは別にプロデュース料も懐に入る予定だと伝えられています。

また6位にはアマゾンが配信する「ホームカミング」に出演するジュリア・ロバーツとアップルが配信予定のドラマにウィザースプーンとアニストンと共に出演するスティーブ・カレルが60万ドルでランクインしており、やはり上位には映画スターの躍進が目立ちます。

一方で、米経済誌フォーブスが昨日発表した2018年度のテレビ界で活躍する俳優の長者番付で7年連続1位という快挙を成し遂げた「モダン・ファミリー」のグロリア役で知られるソフィア・ベルガラや、2位の「ビッグバン★セオリー ギークなボクらの恋愛法則」のペニー役で知られるケイリー・クオコらはトップ10には入っておらず、依然として映画俳優とテレビ俳優の格差が存在していることも浮き彫りになっています。

9月21日から配信されているネットフリックスの新ドラマ「マニアック」にはオスカー女優エマ・ストーンが出演している他、キッドマンとウィザースプーンが共演する「ビッグ・リトル・ライズ」のシーズン2にはなんとメリル・ストリープの出演も決まっており、「ゲーム・オブ・スローンズ」の前日譚に出演予定のナオミ・ワッツら、今後もますます映画スターたちのテレビドラマ進出が続きそうです。【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)