新型コロナウイルスの影響で大勢の人が集まるイベントの開催が禁止されたことを受け、3月から大リーグやNBAなどメジャースポーツはもちろんモータースポーツやゴルフ、テニス大会などスポーツ観戦から野外音楽フェス「コーチェラ」やアーティストのコンサート、映画祭までイベントも全て中止されているカリフォルニア。8日から段階的に経済再開に向けて行動制限の解除が始まったものの、ロサンゼルス(LA)のエリック・ガルセッティ市長は年内の数千人規模のイベント開催は困難との見方を示しており、夏以降のイベントも中止の発表が相次いでいます。7月開催予定だった北米最大のアニメや日本の漫画に特化したコンベンション「アニメ・エキスポ」やサンディエゴで毎夏十数万人を集める世界最大級のポップカルチャーイベント「サンディエゴ・コミコン」もその一つです。

レディー・ガガ
レディー・ガガ

全米各地でイベント開催が中止や延期となる一方で、自宅待機を命じられたアーティストたちはオンラインでイベントを開催する動きが活発化しています。レディー・ガガの呼びかけで実現したチャリティーコンサート「One World: Together At Home」は米3大ネットワークABC、NBC、CBSでも放送され、ローリング・ストーンズ、テイラー・スウィフト、ビリー・アイリッシュら大物アーティストたちが自宅から出演。全米で2000万人を超える人が視聴し、137億円を超える寄付金を集めました。また、エルトン・ジョンも自宅から最前線で闘う医療従事者を応援するバーチャルコンサート「The iHeart Living Room Concert for America」を開催している他、来月6日にはなんとオバマ前大統領夫妻がYouTubeとタッグを組んでガガやアリシア・キーズらセレブも多数出席するバーチャル卒業式も企画されています。また、テレビ界でもスターたちが自宅からリモート出演する機会が増えており、「サタデー・ナイト・ライブ」ではコロナから回復したトム・ハンクスが自宅のキッチンからホストを務めたり、ブラッド・ピットがホワイトハウスの新型コロナ対策チームの主要メンバーでもある米国立アレルギー感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長を演じて話題になりました。人気オーディション番組「アメリカン・アイドル」も出演者が自宅からパフォーマンスを披露し、ケイティ・ペリーやライオネル・リッチーら審査員もそれぞれの自宅から出演する完全リモート放送をスタートさせるなど、テレビ界もリモート放送の流れが本格化しています。

そんな中、新作映画やドラマのお披露目の場としても知られ、毎年多くの大物スターが参加するサンディエゴ・コミコンが、中止決定から一転してオンライン化の流れに追随することを発表しました。今年は50年の歴史上で初となる「コミコン・アット・ホーム」と題したオンライン版でイベントを行うことをツイッターで公表し、「行列なし」「駐車場料金はタダ」「自分の好きなスナックで」「最前列」「ペット歓迎」などオンラインの良さをアピールしています。登壇セレブやランナップ、日程などの詳細は後日発表されるとのことですが、世界中どこからでも参加できるイベントの開催は業界でも注目を集めそうです。

今月29日にはカンヌ、ヴェネチア、ベルリンの世界3大映画祭をはじめ、トライベッカ映画祭、東京国際映画祭、トロント国際映画祭など世界各地の映画祭が集結する「We Are One: A Global Film Festival」が、You Tube上で開催されることも発表されています。各映画祭がそれぞれプログラムを作成し、世界中の映画ファンが無料でコンテンツを楽しめる画期的なイベントとなります。ポストコロナ時代の新たな日常「ニューノーマル」が盛んに議論される中、イベントや映画祭もオンラインで行われる時代が来るかもしれません。

【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)