マドンナが、昨年12月に米ニューヨークでキックオフしたデビュー40周年を記念する世界ツアー「セレブレーション」の北米公演に大遅刻し、チケットを購入したファンから「虚偽の広告や不当表示」があったとして訴えられました。

マドンナ(2016年2月撮影)
マドンナ(2016年2月撮影)

150ドルほどでチケットを購入した原告2人によると、午後8時半開始予定の公演でマドンナがステージに登場したのは2時間以上経った午後10時45分頃だったとのこと。公演が終了したのは公共交通機関の利用が限られる午前1時頃だったといい、深夜料金で割高となった配車サービスを利用して帰宅せざるを得なかったと主張。また、平日の公演では翌朝に仕事や家事のため早起きする必要があり、睡眠時間が大幅に削られたなどと訴えています。

マドンナはニューヨークでの3公演すべてにおいて同様に遅刻しており、原告側は集団訴訟にする構えで、今後さらに原告が増える可能性も出ています。

マドンナは昨夏に、同ツアーを開催直前に重い細菌感染症を患って緊急入院したことから公演は延期となり、秋の欧州公演を経てようやく北米ツアーが始まったタイミングでの大遅刻。ネットでは「初演で2時間遅れはあり得ない」「無礼」などの声があがり、「帰らなかったのは高額なチケット代を払ったから」と批判するファンもいました。

遅刻の常習犯として知られるマドンナは過去のツアーでも集団訴訟を起こされていますが、ほかにもこれまで様々な訴訟問題に直面しています。

マドンナ(2005年撮影)
マドンナ(2005年撮影)

■2019年「マダムX」ツアーでもファンから提訴

フロリダ州で開催した「マダムX」の公演では、開始時間を2時間延期したことでファンから訴えられています。1000ドルを超える高額チケットを購入した男性は、午後8時半開始予定だった公演が購入後に午後10時半開始に変更されたことから、返金を求めるも拒否されたとして提訴。18歳未満の子どもは合法的にコンサートを見ることができず、翌朝に仕事や学校がある人にとっても不都合な時間帯であるため、チケットの転売価値も下がったなどと主張し、1万5000ドル以上の損害賠償を求めていました。その後、別の公演でも遅刻を理由に訴えられたマドンナですが、示談が成立したとされています。

■代表曲「ヴォーグ」の著作権を巡る訴訟

1990年リリースの「ヴォーグ」を巡っては、「著作権侵害」で12年に米レコード会社VMGサルソウルから訴えられています。プロデューサーの一人が自身が手がけた別の曲からホルン音をサンプリングし、無断で使用したとして提訴されたものですが、カリフォルニア州の裁判所は16年にわずか0.23秒のホルン音を一般観衆が認識することはできないと判断。マドンナ側が勝訴しました。

■ブランド名盗用疑惑裁判

若い女性向けのファッションとアクセサリーブランド「ハード・キャンディ」は、マドンナが同社の名称を盗用し、商標を侵害したとして15年に提訴。問題となったのは、マドンナが10年にメキシコにオープンさせたフィットネスクラブチェーンに、自身が08年にリリースしたアルバム名と同じ「ハード・キャンディ」の名前を使用したこと。エクササイズDVDやファッション事業を展開していることに対し、米国特許商標局から却下されたにも関わらず名称を使用して事業を行い、損害を与えたとして損害賠償と名称の使用中止を求める訴訟を起こされました。

■ドキュメンタリー映画を巡るプライバシー侵害訴訟

1991年に公開されたマドンナのドキュメンタリー映画「イン・ベッド・ウィズ・マドンナ」を巡っては、3人のダンサーからプライバシー侵害で訴えられています。ステージ以外でのプライベートな会話風景などが無断で撮影されて映画に使われたと主張していましたが、その後示談が成立しています。

■養子縁組でも裁判沙汰に

マドンナは、アフリカのマラウイから4人の子どもを養子に迎えていますが、2番目に養子となったマーシーさんを巡って法的問題が起きています。養子の親は少なくとも18カ月間は同国に住まなければならないという法律においてマドンナは規定を満たしておらず、09年に裁判所がマーシーさんの養子縁組を却下。しかし、これを不服として上訴したマドンナは、同国での慈善活動に多額の寄付をしていることなどを理由に一転して養子縁組が認められることになりました。

■元恋人へのラブレターの競売差し止め裁判では敗訴

マドンナは元恋人の故2パックから破局時に送られたラブレターのオークション出品を巡って、18年に差し止めを求める訴えを起こしたものの、時効を理由に敗訴しています。手紙はマドンナの友人だった人物が所有していたもので、裁判所は競売前にマドンナが返還を求めなかったことから販売することは可能だと判断したとされています。

【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)