国際的に活躍する真田広之が主演とプロデューサーを務め、戦国時代を舞台に日本の武士道をハリウッドで映像化したドラマ「SHOGUN 将軍」が、ディズニープラスで27日から独占配信されます。
徳川家康をモデルにした戦国最強の将軍・吉井虎長を真田が、吉井の窮地を救う秘密を持ったイギリス人航海士ジョン・ブラックソーンをコズモ・ジャーヴィスが演じる戦国スペクタクルドラマは、1980年にアメリカで実写ドラマ化されたジェームズ・クラベル氏のベストセラー小説「SHOGUN」を新たに全10話のドラマシリーズとして映像化した作品です。
トム・クルーズ主演の映画「トップガン マーヴェリック」(2022年)の原案を手掛けたジャスティン・マークス氏らハリウッドの製作陣が手掛ける本作には、浅野忠信や二階堂ふみ、西岡徳馬らハリウッド制作のドラマとしては前例がないほど多くの日本人俳優が出演。忠実に武士道を描いた作品として早くも話題です。
ハリウッドではこれまでも、クルーズ主演の「ラストサムライ」やキアヌ・リーブス主演の「47RONIN」など日本を舞台にしたサムライ映画が制作されています。「SHOUGUN 将軍」の公開を記念し、日本を舞台にした時代劇やサムライ、刀が登場する作品を紹介します。
■「ラストサムライ」(2003年)
日本を舞台に武士道を描いたハリウッド映画として真っ先に思い浮かべるのは、「ラストサムライ」です。明治維新から間もない1870年代の日本を舞台に、政府軍を近代化するためアメリカからやってきたクルーズ演じるオールグレン大尉が、ある侍と出会い、武士道の精神を知っていく物語です。
オールグレンと絆を結ぶ侍、勝本を演じた渡辺謙が、アカデミー賞助演男優賞にノミネートされた作品でもあり、本作には真田も出演しています。武士道や侍の生き方、考え方が丁重に描かれていると高い評価を受けています。
■「キル・ビルvol.1」(2003年)
日本映画好きとして知られるクエンティン・タランティーノ監督がメガホンを取り、ユマ・サーマンが主演した「キル・ビル」は2部作で、故千葉真一氏や栗山千明らも出演しています。結婚式のリハーサル中に婚約者である夫とおなかの子どもを殺され、自身も重傷を負ったサーマン演じる元殺し屋が、かつて属していた組織に復讐(ふくしゅう)をする物語です。復讐相手の殺し屋集団を追って日本にやってきた主人公が、刀を手に日本のヤクザと対峙(たいじ)する姿やバイオレンスな描写は、強烈な印象を残しています。
■「47RONIN」(2013)
江戸時代中期に発生した赤穂事件を題材にした日本の「忠臣蔵」をモチーフにハリウッドで映画化されたのが、「47RONIN」。四十七士にリーブス演じる日本人とイギリス人のハーフという設定の架空の侍カイが加わるオリジナルストーリーは当時、賛否両論を呼びました。日本からは大石内蔵助役の真田や吉良上野介役の浅野のほか、柴咲コウや菊地凛子、赤西仁らが出演しています。リーブスが刀を手に浪士46人と共に異邦人サムライを演じたことは、大きな話題になりました。
■「ウルヴァリン:SAMURAI」(2013年)
「X-MEN」シリーズを代表するヒュー・ジャックマン演じるキャラクター、ウルヴァリンことローガンが主人公の「ウルヴァリン:SAMURAI」も舞台は日本です。1945年に長崎で起きた原爆による爆発から命を救ってもらった青年将校ヤシダが、死期が迫った数十年後に当時の恩返しのためカナダで隠居生活を送っていたローガンを日本に招待することから始まります。ヤシダ産業の総裁となっていたヤシダは、特殊能力を持つウルヴァリンに「お礼に不老不死の地獄から解放する」と告げて亡くなり、何者かの陰謀で不死身の治癒能力が奪われてしまったウルヴァリンが、ヤクザに誘拐された孫娘マリコを救出するため敵と対峙する物語です。真田がヤシダの息子シンゲンを演じ、甲冑(かっちゅう)に身を包み日本刀を手にウルヴァリンと戦うシーンもあります。
■「沈黙-サイレンスー」(2016年)
17世紀の江戸時代、幕府によるキリシタン弾圧下の長崎を舞台にした遠藤周作の小説「沈黙」を巨匠マーティン・スコセッシ監督が映画化。日本で捕らえられて信仰を捨てさせられた宣教師フェレイラ神父の行方を追って長崎に密入国した2人の神父を通じ、激しい弾圧を受けながら信仰を貫く隠れキリシタンの姿が描かれ、人間にとって何が大切なのかを問う作品になっています。「アメイジング・スパイダーマン」(2012年)で知られるアンドリュー・ガーフィールドが主人公のロドリゴ神父を演じ、日本からは浅野や窪塚洋介、イッセー尾形、塚本晋也らが出演しています。
【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)