落語協会(柳亭市馬会長)からも新真打ちが誕生する。先日、新真打ち5人の会見&披露宴が、東京・上野の精養軒で行われた。

昇進するのは、三遊亭円丈門下のたん丈あらため三遊亭丈助(58)、春風亭一朝門下の春風亭一左(41)、三遊亭歌武蔵門下の歌太郎あらため三遊亭志う歌(37)、柳亭市馬門下の柳亭市楽あらため6代目玉屋柳勢(38)、三遊亭若円歌門下の三遊亭歌扇(48)の5人。

42歳で入門した丈助は「秋田・男鹿出身なので、ナマハゲ小ばなしが得意」と言えば、師匠の円丈は「還暦になってから真打ちになるかと思っていたら、58歳でなっちゃった。中途半端で記憶にも記録にも残らない。売れそうな芽はあるけれど、それが育っていない。少しでも咲かせてほしい」と辛口のエールを送った。

落語協会サーフィン部副部長の一左は「粗忽(そこつ)者と女性が出る噺(はなし)が好き。神奈川・秦野市生まれで、秦野で初めての真打ち落語家です」とアピールすれば、師匠の一朝は「落語家にしてはいい男で、物おじしないのがいい」と褒めた。

志う歌は「落語に出会っていない自分が想像できない。水泳と筆ペンで書くことが得意」と言うと、大相撲出身の師匠の歌武蔵は「初めて会った時は、(大相撲の)豊真将みたいな顔をしていると思った。短所だらけで、思慮は浅いし、気も短い。ただ、私よりもネタは多いし、いい所もある」とフォローした。

市馬会長の一番弟子の玉屋柳勢は「宝塚歌劇が大好き。宝塚愛では誰にも負けません」と胸を張ったが、市馬は「初めて会った時は、今の(林家)三平に似ていると思った。初めての弟子だったので、口やかましく言った。これからはノビノビとやってほしい」と反省の言葉を口にした。

3年前に亡くなった3代目円歌の最後の弟子である歌扇は「古典落語をしっかりとやっていきたい。内弟子修業をしたけれど、住み込みは嫌だった」と振り返ると、現在の師匠の若円歌は「ネタを増やしてほしい」と注文を付けた。

58歳と48歳というおじさんに、41歳、38歳、37歳と年齢に幅があるものの、落語にかける思いは横一線。昇進襲名披露興行は東京・上野の鈴本演芸場の3月下席(21~30日)から始まる。【林尚之】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「舞台雑話」)