上白石萌歌演じる高校生・美波のひと夏を描いた。幼いころに別れた父親探し、家族とのきずな、同級生との恋や部活など、さまざまな出来事を通して、少女が少し大人になる、そんな物語だ。
どのエピソードも軽やかですがすがしい。同級生の門司(細田佳央太)と、好きなアニメの話で盛り上がってあっという間に意気投合する感じなんかは、とても自然で、ありそう、ありそう、とほほえましかった。
父探しというと重い展開を想像しそうだが、そんなことはない。なぞめいていてチャーミングな父親(豊川悦司)と距離を縮めていくのは、美波の持ち前の明るさと、相手に対して壁を作らない性格ゆえ。序盤からこの美波という女の子が好きになったが、物語が進むにつれ、どんどん好きになった。もっと彼女を見たいという気持ちになった。
上白石はオーディションで当作出演を決めた。沖田修一監督が「この映画を大事にしてくれそうな人に演じてもらいたかった」と言うように、上白石の丁寧で伸びやかな演技が、作品をより魅力的にした。明るさの奥にある繊細な気持ちが、母親役の斉藤由貴とのシーンに込められている。【小林千穂】
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