世界的ベストセラー小説を映像化し、オバマもザッカーバーグもキャメロンもハマったという中国の超大作SFドラマ「三体」が、あす7日からWOWOWで日本独占初放送される。巨額制作費を背景に、ハイクオリティー&大スケールで世界市場を圧倒する中国ドラマの現在地を、同局担当者に聞いた。
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中国ドラマというと、歴史時代劇や、ファンタジックなラブ史劇のイメージが強いが、中国国内ではここ数年、小説、ウェブ小説などの原作をもとにしたミステリー、サスペンスが活況なのだという。
WOWOW映画部の陸正妍プロデューサーは「日本ではまだまだ韓国ドラマが強く、現代ものを見るなら韓ドラ、という需要が高い。そのため、WOWOWでも中国ドラマはラブ史劇などのジャンルを中心に放送してきたのですが、実際はこの5年くらい中国の現代ドラマは究極のクオリティーで進化している」と話す。殺人犯と3人の子どもたちの攻防を描いた「バッド・キッズ 隠秘之罪」(20年)や、「ソウルドラマアワード2023」国際部門3部門にノミネートされた「ロング・シーズン 長く遠い殺人」(23年)など、世界で高い評価を得た作品は多い。
「三体」は、SF界のノーベル文学賞といわれるヒューゴー賞を受賞し、世界累計2900万部超えを記録した大ベストセラー(作・劉慈欣)を初実写化。各地で相次ぐ科学者の自殺を発端に、ある学術組織に潜入することになった研究者ワン・ミャオが、科学的にありえない怪現象に襲われていく。今年1月、中国の配信プラットホーム「テンセントビデオ」で配信され、VRゲーム、軍事作戦など、最新技術で原作の壮大な世界観を再現した映像クオリティーは世界に衝撃を与えた。
映像の進化について、陸さんは「個人の体感ですが、ここ10年くらいで大きく変わった」と指摘する。アジアで大ヒットした架空時代劇「琅■榜(ろうやぼう)」(15年)が象徴的とし「陰影や奥行きなど、それまでとは違う映像美が話題になりました」。
映画部企画ラインナップ統括の松永綾さんは、「韓国ドラマが一足先に世界を席巻した際、クリエイターを招いてノウハウを吸収するなど、盛んに人材交流を行った影響も大きいのでは」と話す。「『星から来たあなた』(13年)などが中国で大ヒットして、韓国の監督たちがものすごいギャラをもらって中国に招かれたりしたのがちょうど10年前くらい。わずか10年たらずで吸収し、今やプロダクションデザインのレベルがすごい。進化の速さに驚かされます」。
配信の時代になり、世界中のコンテンツと横並びでユーザーに届く中、「見劣りしない作品作り」への意識の高さも強く感じるという。
「三体」を配信したテンセントビデオは、IT企業テンセントの運営で、中国三大プラットホームのひとつ。「億を超える会員数がいて、作品作りにケタ違いの制作費を投入できる。これひとつでネットフリックスやディズニーのような世界市場に匹敵するというか。人口パワーのすごさを実感します」。今や宮廷ものを含め、ハリウッド映画並みの予算を投じる作品も珍しくない。
「世界に売る」という戦略も徹底している。陸さんによると、これまで歴史時代劇やホームドラマなどは80話くらいが中心だったが、最近は40話くらいになっているという。ちなみに「三体」は30話。「これでも中国では少ないほう」とし、「ミステリーやサスペンスは話数が少ないので、比較的海外進出がしやすいジャンルとして勢いづいている」。松永さんも「8月に韓国で行われた放送コンテンツの国際マーケットでも、中国三大プラットホームがブースを展開し、勢いがすごかった」と語る。
「三体」について「レベルの高い中国ドラマの中でも、究極にレベルが高い作品」とし、「中国ドラマというより、大型海外ドラマとして、スケールとクオリティーを楽しんでほしい」と話している。
◆SF超大作「三体」 WOWOWで全30話を3カ月連続放送。1~10話は7日、8日に放送、配信。11~20話を11月、21~30話を12月にそれぞれ放送、配信。
【梅田恵子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能記者ラム「梅ちゃんねる」)
※■は王ヘンに邪







