有村架純(22)が、親子の絆を描く映画「夏美のホタル」に主演することが17日、分かった。偶然出会った年老いた親子との交流を通して、人を思うことが生む奇跡を体感して成長していくヒロインを演じる。共演は工藤阿須加(24)。有村主演のヒット映画「ストロボ・エッジ」も手掛けた広木隆一監督(61)がメガホンをとる。

 「夏美のホタル」は、自然豊かな山間の風景を交えながら、世代を超えた心の触れ合いを描く。原作は作家森沢明夫氏(46)の同名小説。同氏は高倉健さんの主演映画「あなたへ」の小説版や、吉永小百合の主演映画の原作「虹の岬の喫茶店」などで知られ、著書が次々と映像化されている。「夏美のホタル」は10年に発表され、文庫本の帯に「もうやばいくらい泣けます」と書店関係者がコメントを寄せる感動作だ。

 撮影を終えているが、有村は脚本を読んだ段階で「親の顔も浮かんできて胸にジーンときて、泣いてしまいました」という。将来や恋人との今後について悩みを抱えている写真家志望のヒロイン夏美を演じた。亡き父とホタルを見た思い出の地を訪れ、年老いた親子に出会う。追いかけてきた恋人と、美しい自然と心温まる人たちに囲まれながらひと夏を過ごす中で、親子や家族、夫婦、恋人、友情といった絆の大切さを深く感じていく。

 撮影開始前、主人公の揺れ動く心情の理解に苦しんだ。「私は白黒ハッキリさせて現場に立ちたいタイプなので悩みました」。広木監督ら周囲のアドバイスもあって「難しく考えすぎていました。セリフと感情はしっかり心に留め、あとは何も考えず演じました。こんなふうに取り組んだのは初めて。自由に動くことができて良かった」。ある場面の撮影では、感情を抑えきれず、自然に涙が止まらなくなったこともあったという。

 今年は主演映画「ストロボ・エッジ」「ビリギャル」がいずれも大ヒットを記録。映画界で存在感を示した1年となった。「夏美のホタル」は派手さこそないが、「どの世代の方でも共感していただける作品だと思います。人と人はつながって生きているとあらためて思える映画です」。役をつかむ苦労はあったが、女優として強い手応えを得た作品となったようだ。公開は来年初夏の予定。