演歌歌手鳥羽一郎(65)が12日、今年2月に心不全で死去した作曲家船村徹さん(享年84)の追悼コンサートを、船村さんの故郷である栃木・日光市で行った。

 鳥羽は、のべ200人の船村門下生で作る「船村徹同門会」の会長。この日は、内弟子の後輩である静太郎(52)天草二郎(46)走裕介(43)村木弾(37)と「内弟子五人の会」を結成。師匠の85歳の誕生日になるはずだったこの日を選び、船村魂を歌い継ぐコンサートの開催を決めた。

 船村さんが世に送り出した約5500曲の中から、「兄弟船」「風雪ながれ旅」「王将」などの名曲の数々や、思い出の曲など27曲を歌唱した。

 「先生には『ちくだんべ、このデレスケが!』と栃木弁で何度も怒られた。最初は先生はフランス語を使っていると思ったんだ」。船村メロディーのファンで埋まった会場に笑いも届けながら、戦後の歌謡史を彩った偉大な師匠をしのんだ。

 船村さんの死去から早くも約4カ月。「もっともっと長生きしてほしかった。そして良い曲を作ってほしかった。四十九日も納骨も終わっているけど、亡くなった実感が今もわかない。旅に出ていて、戻ってくるような気がする」と振り返った。

 船村さんは全国各地を回り、全国に歌心を届ける「演歌巡礼」の旅をライフワークにしていた。「それをこの5人で引き継いでいく。『2代目演歌巡礼』として先生の歌を広めていきます」。師匠の遺志の継承を天国に誓った。

 船村さんの遺作は村木が歌う「都会のカラス」だが、走が7月5日に発売する「男の駅」も船村さんの未発表曲。「大切に歌い継いでいきます」と決意を新たにしていた。