鈴木砂羽(44)が主演・初演出する舞台「結婚の条件」が13日、東京・新宿シアターモリエールで開幕した。初日直前の11日に、出演予定の女優2人が、鈴木からの土下座の強要など「人道にもとる数々の行為を受けた」という理由で降板したと公表した。急きょ代役を起用して迎えた波乱の初日の終演後、鈴木は「土下座をさせたことはまったくございません。心情的なことや人格を否定するようなこと、罵声を浴びせた事実はありません」と2人の主張を否定した。さらに2人に言いたいことを聞かれると「舞台を作るのには、長い道のりがあります。踏んだりけったりなこともあります。いい経験になりました。演出家として勉強させてもらった」と話した。

 発端は今月9日の稽古場での出来事。降板した鳳恵弥(36)牧野美千子(52)の所属事務所は、2人が別の仕事のため稽古場を早めに離れた。2人によると、これを鈴木が罵倒し、土下座で謝罪を強要されたという。

 鈴木はこの日、代役2人の稽古もあるため、開演8時間前の午前10時半に劇場前に姿を見せた。取材陣を見つけると、笑みを浮かべながら「頑張ります」とガッツポーズして劇場入りした。「結婚の条件」は、婚姻免許法が施行された近未来を舞台に、婚姻許可試験のため塾に集まった生徒の奮闘を描く作品。初日公演では、塾長役の鈴木は初演出も兼ねた稽古疲れのためか、せりふを何度もかんだが、カーテンコールでは感極まって泣きだした。

 「感無量です。お騒がせして申し訳ありません。初日を迎えられたのが、何よりも良かった」「いろいろありましたけど、18日の千秋楽まで、もうメロメロせずに頑張っていきます」とあいさつした。共演者も涙を流し、約150席をほぼ埋めた観客から大きな拍手が起こった。