俳優宝田明(83)が4日、東京・TOHOシネマズ日劇の「さよなら日劇ラストショウ」で、「ゴジラ」(54年公開)特別上映後にトークショーを行った。同館はこの日閉館を迎え、85年の歴史に幕を閉じた。満員の観客と大きな拍手に迎えられた宝田。劇場を見渡して立ち止まり、背を向けて目元をぬぐった。「今年で84歳になる宝田を泣かせないで下さい。こんなに温かい拍手は終生忘れることが出来ません」とあいさつすると、会場は割れんばかりの拍手に包まれた。

 ゴジラは自身の初主演作。映画出演3本目での抜てきだったといい、「天にも上る気持ちでした」。撮影が始まってもゴジラについての情報は明かされなかったという。「(ゴジラの)大きさは数字のデータだけ。リアクションをとるためにはデータが必要ということで、小学生のように質問をして、本多(猪四郎)監督をだいぶ困らせました」と苦笑交じりに振り返った。

 自身誕生の1年前に開業したことから、日劇を「同期の桜」と表現した。3月にオープンするTOHOシネマズ日比谷については「技術の粋を尽くした劇場で、うれしい限り」と期待を寄せた。

 14年に公開された米国版「GODZILLA」にもレジェンドとして出演したが、上映時間の問題であえなくカットされてしまったという。(同映画出演の)渡辺謙には「お前のところを1、2分切ってくれれば、俺が入ったんじゃないか」と伝えたと明かして笑わせた。「次にアメリカで作る時には『絶対に宝田を出すんだ』って声が上がってる。ありがたいことです」と感謝を表した。