河瀬直美監督(49)が9日、東京・新宿ピカデリーで行われた、河瀬直美監督の映画「Vision(ビジョン)」公開記念舞台あいさつで、同じ8日に公開され、カンヌ映画祭パルムドールを受賞した是枝裕和監督(55)の「万引き家族」と、自身の「Vision」の両方を見に行って欲しいと観客に呼び掛けた。

 河瀬監督は、カンヌ映画祭で97年に新人監督賞のカメラドール、07年「殯の森」で審査員特別大賞を受賞、是枝監督は13年「そして父になる」で審査員賞と、同映画祭で競い合うように賞を受賞し、最高賞パルムドール受賞の候補に挙げられ続けてきた。その是枝監督が今年、先にパルムドールを受賞した。

 河瀬監督は「是枝さんの『万引き家族』と同日公開。1980年後半、90年代から日本映画界で映画を作り続けてきて…何か、いつも並走するような形で映画を撮り続けて、同じ日に公開するのは初めて」と感慨深げに語った。

 その上で「是枝さんは今年、パルムドールを受賞された。『万引き家族』で描かれている世界は、今の日本の社会の見えない部分を描かれている。私も拝見させていただきましたけれど、この時代、世界に、私たちはこの先の1歩をどう踏み出していったらいいか分からない…そのことに対して深く、深く考察されたすばらしい映画でした」と「万引き家族」をたたえた。

 そして「私たちの作品も、現代社会からしてみたら、吉野の山の深いところに人が訪れることは、ほとんどありません。森がそこに息づいている時間を、ほとんどの人が知らない」と説明した。

 その上で「『万引き家族』も見に行ってください。『Vision』も見ていただければ」と笑みを浮かべた。【村上幸将】