元中日監督の落合博満氏(65)の長男で声優の落合福嗣(31)が“声優界のアカデミー賞”第13回声優アワードで新人男優賞を受賞した。

落合は父ともども「機動戦士ガンダム」のファンなどアニメ、ゲーム好きとして知られ、国士舘大学21世紀アジア学部などを経て、10年にはゲーム「龍が如く4」で自らをモデルにした格闘家役の声を演じた。

その後、本格的に声優の勉強をするためアミューズメントメディア総合学院東京校声優タレント学科に入り2年、学んだ。そして15年4月に大手声優事務所の青二プロダクションのオーディションに合格。同年に声優の浅野真澄が、あさのますみ名義で原作を務め、「ハヤテのごとく!」で知られる漫画家で、浅野の夫の畑健二郎氏が作画を担当した漫画のアニメ化作品「それが声優!」で地上波のアニメに初出演。それが実質的な声優デビューとなった。

声優として、受賞対象年度となった18年は進境が著しかった。テレビ朝日系で放送された人気シリーズ第15弾「HUGっと! プリキュア」(日曜午前8時半)で、プリキュアの敵「クライアス社」のチャラリートを演じた。さらにBSスカパー!で1年にわたり2シーズン、24話放送された、プロ野球漫画をアニメ化した「グラゼニ」で、主人公の凡田夏之介を演じた。実写化すれば自らが演じた方が良いと評判を呼ぶほどの当たり役をつかんだ。

15年にはTBS系「新・情報7day’sニュースキャスター」のナレーションを務めたり、18年のTBS系日曜劇場「下町ロケット」では佃製作所のライバルとなる大企業・帝国重工の社員・田辺海斗を演じ、個性派俳優の道への期待も高まっている。

父は82年、85年、86年と3冠王3回、右打者のパ・リーグ記録となる5度の首位打者、史上初めて両リーグを制しての本塁打王、打点王それぞれ5回、MVP2回、ベストナイン10回など、輝かしいタイトルを誇る。偉大な父を持つ落合が、声優の道を進み始めて4年で初のタイトルをつかみ取った。

◆落合福嗣(おちあい・ふくし)1987年(昭62)8月20日、名古屋市生まれ。国士舘大卒。94年に父とテレビ朝日系時代劇「桃太郎侍」出演。10年にはゲーム「龍が如く4」に出演した。13年にはグループNOAHのメンバーとしてテレビドラマ「猫侍」の主題歌「我が道よ」でCDデビュー。10年10月に山口県出身の一般女性と結婚。14年1月に長女、16年6月には次女が誕生し2児の父となった。

◆声優アワード 外画放送開始50周年にあたる2006年(平18)に、その年度に最も印象に残る声優や作品を対象に、その業績をたたえる本格的な声優を対象とする賞として創設。第1回から12年の第7回までは一般投票をもとに候補者を一時選出する主演、助演、新人男女優賞、歌唱賞、パーソナリティー賞と、選考委員会で選出する功労賞、特別功労賞などに分かれていたが、その後は実行委員会と選考委員会の選考に変更。新人賞は過去、平野綾(第1回)梶裕貴(第3回)らが受賞し、人気声優への登竜門となっている。