俳優松田龍平(36)主演のNHKスペシャルドラマ「STRANGER(ストレンジャー) 上海の芥川龍之介」(12月30日午後9時)の制作発表が27日、都内で行われた。

1921年(大10)に新聞社の特派員として共産主義が芽生え始めた上海に渡った、作家芥川龍之介の姿を描く。日本ではすでに「羅生門」「鼻」「地獄変」を発表して文壇の寵児(ちょうじ)となっていた芥川が、理想と現実のギャップに悩みながら、中国の精神世界に分け入っていく姿を描く。

英語字幕で12月28、29日に国際放送。年明けには英語字幕と中国語字幕でネット配信される。8Kで、中国の上海でオールロケで撮影された。

松田はドラマの出来栄えについて「見応えがあって、満足しています。本当すごい。上海を経験させていただいて、100年前の上海にタイムスリップするのを感じながらやらせていただきました。中国のスタッフが180人くらい協力してくれた。言葉が通じない中で、日本のスタッフと力を合わせて、作品を作りたいと言う思いで壁を乗り越えた。中国のスタッフはパワーがあって、叫ぶよう。影響を受けながらやっていて、素晴らしかったですね」と振り返った。

29歳の芥川が初めての海外に渡った役を演じるに当たって、自身に置き換えて役作りをした。「芥川が初めて海外に行った話なので、自分が初めて海外に行った時の気持ちを考えた。自分に寄せることで、ただ1人の男として違った環境に行った時、何を考えるのかと思った。このドラマの6年後に(芥川が)自殺をするということを、ずっと考えていました。最後に着ていた服が中国の布で作った物(浴衣)だったというのは、どういうことか。生きるということは死ぬこと。芥川は生きていたいと思ったんじゃないか。そこまでを感じました」と話した。

作家の芥川については「あまりなじみがなかった。今回、ウィキペディアで知ろうとした。それくらい(笑い)。ただ、芥川の人生の中でも、ほんの短い旅の話。短くても濃厚な芥川の人生を演じられたのが収穫と、ポジティブに考えています」と笑顔を見せた。

脚本の渡辺あや氏(49)は「いろんなチャレンジをしている作品。個人的には芥川龍之介という文豪が何をしゃべったかという高いハードルがあった。書いてみて、29歳の芥川が何を考えていたか、100年前の上海を描けてよかった。史実を見ても、書かれた物を見ても、得にこの旅行で芥川が持ち帰ったものはない。この旅行でおなかを壊し、体力が弱っていく。上海の旅が彼にとってどういう旅だったのか。彼はそれまで政治とかの議論を吹っ掛けられても乗らなかった。でも、その国(中国)に行ったら考えざるを得ない。最後に彼が命を燃やした瞬間だったんじゃないかと思います」と話した。