300万円で製作されたインディーズ映画ながら、興行収入31億円超と日本映画史に残るヒットを記録した18年の「カメラを止めるな!」の続編となる短編映画「カメラを止めるな! リモート大作戦!」が、1日午後6時からYouTubeで配信がスタートした。

上田慎一郎監督(36)が13日に、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、俳優や他の製作陣とは1度も会わずに“完全リモート映画”として製作すると発表してから、わずか18日間で製作、配信までこぎ着けた。

「-リモート大作戦!」には「カメ止め」の俳優陣が再集結し、上田監督がビデオ通話の画面や俳優がスマートフォンで自撮りを行った画像を受け取って編集を行い、約26分の短編映画を完成させた。同監督は「1カ月前『今、自分にできることは何だろう?』と考え、本作の緊急製作を決めました。とにかく気分が明るくなる愉快痛快な楽しい映画を! と作ったつもりなんですが…自分自身、編集をしながら涙が止まらなくなってしまった場面が2カ所ありました。いつの間にか本作は自分の想像を遥かに超えたものになっていました。半分は誰かの娯楽のために。半分は自分を救うために。この作品を作ったんだと思います」とコメントした。

「カメ止め」は、山奥の廃虚を舞台に37分間ワンシーン・ワンカットでゾンビサバイバル映画を撮影する、映像ディレクター日暮隆之(濱津隆之)ら自主映画撮影隊を描いた。今回の物語の舞台は、まさに新型ウイルスの感染拡大で外出自粛を余儀なくされている、現在の日本。困難な状況の中、自宅待機中の日暮の元に、笹原(どんぐり)、古沢(大沢真一郎)両プロデューサーからビデオ電話があり「今月中に再現ドラマを1本作って欲しい」とのむちゃぶりなオーダーが届く。「家から出られないこの状況で撮影は出来ませんよ」と渋る日暮に、笹原が「スタッフキャスト全員、自宅から一歩も出ず、一度も会わず、完全リモートで作ります」と提案し、製作が始まる物語だ。

主演の濱津は「一足お先にちょろりと拝見させて頂きました。完全リモート、完全自撮りならではの粗さもまた、面白みの1つになっていたり。取りあえず、何も考えずにただただ笑ってくれたらと思います」とコメントした。

今作には他に真魚(日暮真央役)、しゅはまはるみ(日暮晴美役)、秋山ゆずき(松本逢花役)、長屋和彰(神谷和明役)、市原洋(山ノ内洋役)、細井学(細田学役)らが出演した。

上田監督は「『今』しか作ることが出来ないものが出来ました。ぜひ『今』見て下さい。この作品が誰かの気分を少しでも明るくすることが出来ますように」とコメントした。未公開映像や監督と俳優陣メッセージ動画は、映画の公開延期や上映自粛で存続の危機に立たされたミニシアターを救済するためのクラウドファンディング「ミニシアター・エイド基金」へ、支援者への特典として提供する。