米ミネソタ州ミネアポリスで黒人男性ジョージ・フロイドさんが25日に白人警察官から道路に押し倒された状態で喉を膝で押さえつけられて死亡した事件を受けて30日、ロサンゼルスでは抗議する人々のデモが過激化し、市内の複数箇所で暴動にエスカレートして負傷者も出ている。

偽札偽造の疑いで警察に逮捕されたフロイドさん。無抵抗のまま「息ができない」と何度も警察官に訴える様子を居合わせた人が撮影した動画がSNSで拡散され、全米に抗議デモが広がっている。

29日にダウンタウンのロサンゼルス市警察署周辺で起きた抗議デモでは放火や建物の破壊、窓ガラスを割るなど過激化したデモ隊と警察官が衝突して複数の警察官が負傷し、500人以上が逮捕された。

翌30日にはウエストハリウッドやビバリーヒルズにも抗議デモが飛び火。店舗を破壊したり、略奪や放火、パトカーを襲撃して火を放つなどの暴動に発展し、ガルセッティ市長は夜8時以降の外出禁止令を発令した。

ロサンゼルスでは1992年に黒人男性ロドニー・キングさんに暴行を加えて負傷させた白人警察官に無罪評決が下されたことを発端に暴徒と化した人々による放火や略奪が起き、53人の死者と2000人もの負傷者を出した傷痕が残っており、ガルセッティ市長は暴力や破壊行為を伴わない平和的抗議活動を呼び掛けている。

ハリウッドにほど近いショッピングモール、ザ・グローブでは、百貨店が破壊されて略奪が起きている他、建物の一部が放火される事態に発展。高級ブランド店が集まるロデオ・ドライブやメルローズ周辺でも略奪などが起きており、ロサンゼルスでは新型コロナウイルスの影響で閉鎖していた多くの店舗が今週から2カ月ぶりに営業再開を始めたばかりのタイミングだっただけに大きな衝撃が走っている。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)