映画の配給や映画館などの経営を行う「アップリンク」代表の浅井隆氏(65)からハラスメントを受けたとして、東京地裁に同氏と同社に対して16日に損害賠償などを請求する訴訟を起こした元従業員が22日、都内で会見を開いた。

元従業員3人は、浅井氏が訴訟を提起されたことを受けて16日と19日に発表した謝罪文は、原告側に謝罪も断りもなく行われた、対外的に謝罪のポーズを示したものにすぎず、受け入れられないと涙ながらに憤った。

アップリンクの関係者は22日夕方、日刊スポーツの取材に「(原告の)会見があったことは聞いておりますが、何とも申し上げられません」と答えた。提訴した元従業員は、浅井氏が19日に発表した今後の方向性を示した謝罪文が、原告側に全く承諾も話もないまま一部のメディアに交付した上で、公式サイトにアップされたとして憤りをあらわにしている。ただアップリンクの関係者は、一部メディアに謝罪文を先渡ししたという批判についても「社としてコメントを出すかも、何も申し上げられることはない」と返答するにとどめた。

質疑応答の中で、原告に対し、16日に浅井氏と同社を提訴し会見を開いた後、アップリンク関係者から謝罪や反応があったかと質問が出た。原告は、同社のベテランスタッフが浅井氏のパワハラを黙認したり、容認するなど、作為的であれ、不作為的であれ、ハラスメントに関与していたことを問題点として指摘している。原告の浅野百衣さん(31)は「ベテランの立場の方からは一切、連絡がありません」と答えた。

一方で「同じような立場で一緒に働いていた方からは『声を上げてくれて、ありがとう』というメッセージは届いております」と、アップリンクの社員の中には、浅井氏と同社を提訴した原告に感謝の声もあったことを明らかにした。