東日本大震災時の福島第1原発事故での作業員たちの奮闘を描いた映画「Fukushima50」(若松節朗監督)の舞台あいさつが9日、東京・丸の内ピカデリーで行われ、佐藤浩市(59)と渡辺謙(60)が登壇した。

同作は3月6日に公開され、週末興行ランキングで2週連続1位も、初日舞台あいさつは新型コロナウイルス感染拡大で中止に。この日は、観客の前での初あいさつとなった。

主演の佐藤は「今の世界が置かれている状況の中で、人は何ができるのか。方向を間違えると取り返しがつかなくなるというのが、この映画で描きたかったことです。(コロナ禍を)人災にしないために、これからどのように生きていくのかを考えるためにも、この映画を見て欲しい」。

この日は渡辺が演じた福島第1原発所長だった吉田昌郎氏の命日。渡辺は「コロナに関わる医療現場でも大事なのは現場の声だ。吉田さんは現場の声を聞き、本店や政府と闘った。この日に(舞台あいさつを)届けられ、現場を大事にした吉田さんも喜んでいると思う」と話した。コロナ禍についても「4月まで舞台をやっていて、大切なのは熱意とバイブレーションだと実感した。これをこの世界から取り上げられたら成り立たない。新しい生活様式ももちろん大切だが、1日でも早く普通の生活様式を取り戻したい」と訴えた。

全国約350館で公開されたが緊急事態宣言後は上映が停止に。4月17日から5月14日までは新作としては異例の有料配信に踏みきった。宣言明け後は徐々に上映館数も戻り、7月10日で174館となる。