デーブ・スペクターが、放送プロデューサーとして日米を橋渡しして25年の経験で培った独自の視点から、東京オリンピック(五輪)を斬った。

コロナ禍による1年の延期で、経費が増したことへの批判が根強い中、競技会場、選手村を作る必要性があったのかと疑問を呈した。さらに競技数が増え、肥大化する一方の五輪のスリム化や、大会の持ち回り案など持論を展開した。【聞き手・村上幸将】

▼経費 日本は税金を使って開催する一方、米国は寄付で開催と基本的な考え方が違う。米国はプロスポーツが山ほどあるから、その会場を使えるし、大学の設備も使える。一方、日本は利権などもあるからか施設を造っちゃったけれど、今、ある施設でもやろうと思えば出来た。選手村もアパホテルでも使えば造る必要はなかった。でも、日本はIOCに断る根性もないし(組織委前会長の)森喜朗さんがIOCと一体化しているから、IOCのやり方の犠牲になったんです。揚げ句に弁当の過剰発注で、食品ロス…まさに“弁当ロス五輪”だよね。

▼肥大化 放送権を持つ米NBCが、視聴率低下でスポンサーに補てんというニュースが流れているけれど、あれは米国の商習慣で東京五輪に限った話ではない。時差、無観客で盛り上がらない上、ストリーミング配信も多過ぎ、見せ方が良くないなどの要因はあるけれど、そもそも各競技ごとに大きな大会が行われている今、五輪はそこまで大きなコンテンツじゃない。それなのに競技数を増やし、拡大したIOCに問題がある。これじゃあ、どこも開催国に手を挙げなくなる。競技数を減らし小さな五輪にした上で、32年のブリスベン(オーストラリア)以降は各国の持ち回りにすべき。

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