乃木坂46高山一実(27)が21日、東京ドームで開催された「真夏の全国ツアー」ファイナル公演に出演し、グループから卒業した。加入から10年間、ムードメーカーとしてグループを支え、全28作のシングルで選抜入りするなど安定して活躍を続けた。

エンターテイナーらしいサプライズもあり、最後までメンバーやファンを笑顔にし続けた。

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アンコールで東京ドームは、ステージに向かって右がピンク、左が水色のペンライトの光で染まった。ソロ曲「私の色」を歌い終えると、高山は「最後にこんなすてきな景色を見せてくださって、ありがとうございます。私の好きなピンクと水色の景色…すごい」と声を詰まらせた。続く「サヨナラの意味」では、メンバーたちと身を寄せ合って、涙し、笑い合った。さらに気球に乗って会場を1周。ファンに感謝を届けた。

開演前、高山の粋な“演出”があった。入場時、観客1人1人に自著の短編小説「キボウの名」が配られた。高山は「語りに思いが乗り切らないような気がして小説を書こうと決めました。良かったらみなさん、暇な時に読んでください」と呼び掛けた。18年に単行本化した小説家デビュー作「トラペジウム」はベストセラーに。マルチに活躍してきたメンバーならではのラストサプライズだった。

もともとモーニング娘。の大ファンで、アイドルに憧れて11年8月、乃木坂46の1期生オーディションに合格。「デビュー前から『ここで10年やる』と決めていました」という固い意志と継続力で駆け抜けた。デビューからシングル全28作の連続選抜入りはグループ史に残る金字塔だ。

本編ラストでは、「最後の日って、こんなに楽しいんだ~ってびっくりしています! 幸せすぎて、天井突き抜けて空まで行っちゃいそうです」と笑った。アンコールで涙した後も「寂しい~! 寂しいがいっぱいだけど、それ以上にもっともっと幸せ。この景色を思い出して、これからの人生も頑張っていけそうです」と瞳を潤ませながら笑顔を見せた。

卒業後も芸能活動を続ける。「これまでのライブの中で一番緊張しなかったかも。ずっと楽しくて、全然冷静にできた。これが10年続けてきたからかなって思ったら、すごくうれしい。この経験をバネに頑張れそうな気がする」とほほえんだ。10年間乃木坂46を支え続けた多才なメンバーが、笑顔と涙でアイドル人生に幕を下ろした。【横山慧、松尾幸之介】

◆高山一実(たかやま・かずみ)1994年(平6)2月8日、千葉県生まれ。安房高卒。11年8月加入、乃木坂46の1期生。愛称「かずみん」「ずー」など。18年著書「トラペジウム」で小説家デビュー。テレビ朝日系「クイズプレゼンバラエティー Qさま!!」MC。TBS系「オールスター後夜祭」で18年からMC。162センチ。血液型A。