コンビ結成17年目を迎えたお笑いコンビ、ロッチが6月24、25日に単独ライブ「すってんこロッチ」(東京・北沢タウンホール)を開催する。バラエティー番組などで売れっ子となったが、単独ライブを毎年行っている。芸歴を重ねても取り組み続けるネタや単独ライブへのこだわりを聞いた。2回にわたってお届けする。【佐藤成】

<後編>

コカドケンタロウ(以下コカド=43)と中岡創一(以下中岡=44)のコンビも、気付けば結成17年目になった。それぞれ芸歴は25年を超える。売れるかどうかギャンブル性の高い職業ともいわれる、芸人という仕事を長く続ける現状をどう見ているのか。

コカド 若手芸人になりたいと思って始めてるから、大阪で深夜にやってた番組とかで、千原兄弟さんとか、ケンドーコバヤシさんとかを見て、かっこいいな、この中に入りたいなと思って始めたところもあるから、若手芸人になる夢はすぐかなってるんです。あとはもう、それ以上のことばかりが起こってる感じ。もうずっと夢がかなってる感じが続いてる状態です。

中岡 僕の場合は、コントで、コカドくんと一緒に世に出してもらって、別に僕は(ネタを)作ってるわけじゃないですから。ポンッと芸能界にこう連れてきてもらったなみたいな。お笑いの世界で入れてもらったな、ぐらいの感覚でいてたら、今度はドッキリとか「(世界の果てまで)イッテQ!」とかいろいろやってたら、そういう面白さを見せてくれるんやって。番組側が使ってくれて、なんとなく面白いな楽しいなと。だんだんだんだん面白くなってきてますよね。そしたらもう十分いろいろ面白くしていただいたんで、なんか自分でやりたいなっていう気も出てきた。自分、何をできんねやろみたいなことを、やっぱりちょっと思います。それが(公式アンバサダーを務める)ホッケーの活動やったりするんすけど、17年たっても、なんかいろいろ楽しいなと思っています。

競争の激しい世界で続けるエネルギーは何なのか。

コカド 僕は世に出れるようになるまで10年以上ありましたけど、その時も毎日、毎日芸人とかといたら楽しかった。だから、他の仕事をするっていう選択肢はなかったですね。こんな楽しいことをやめるっていうのは考えられん。一番ほんまに自分が楽しいから。

その感覚は今もあまり変わらないのか。

コカド そうですね。1回、20歳ぐらいの時に古着屋さんにもなりたかったから、1回古着屋もやったんですよ。芸人は1回置いといて。それやってみてもやっぱり、絶対芸人のが楽しいなって、なりました。古着屋もめちゃめちゃ楽しかったんです。毎日早く朝起きて行きたかったし。でも芸人の方が楽しいし、もっと先の楽しさもあるやろうなと思って、それでまた芸人をやり始めたから、もうそれ以上はないかな。

中岡 僕は1回やめてるんで。辞めた時の感覚でいうと、「好きな仕事やりたいな」から始まって、1回やめて。普通に仕事していた時も、そこはそこで楽しかったんすけど、(芸人は)なんか特殊なんすよ、ドキドキが。あのスベるかもしれへんみたいな。ネタする前とか、トークする前とかのスベったらどうしようとか、ウケたら気持ちいいな、とか。それはあんまり代わるもんないので。いろんなすごい先輩がいて、さんまさんがいて、さんまさんの前で今から言うぞっていう、ドキドキとか。なかなか慣れないし、それが好きなんでしょうね。

コンビ結成からコント一筋。改めてコントへのこだわりを聞いた。

コカド こだわりっていうか、好きですね。ほんとにずっと高校1年から(芸人を)始めて、コント以外考えたことはないかもしれないですね。もう当たり前のように、もう始めた瞬間、コントをやると。

コントの醍醐味(だいごみ)は何なのか。

コカド 漫才もかっこいいなと思うんですよ。マイク1本で、言葉だけでって。どうしてもやっぱ、僕は見るのもコントが好きやし、いろんな舞台とかお芝居とか見に行くけど、やっぱ芸人さんのコントの単独ライブが一番好きですね。なんでなんでしょうね。普通の素であんまりしゃべるのも苦手なのなんかな。(コントだと)恥ずかしくない。たぶん漫才やったら恥ずかしいって気持ちがありながらやると思うんですけど、コントは僕はなんか恥ずかしくないですね。

中岡 僕は別に漫才も好きなんであれですけど、コントの見た目の面白さも漫才よりあるでしょうしね。ぱっとみて。漫才よりは自由じゃないよね、コントの方が自由度では。でもライブ見に来た人たちは、たぶんテレビでみるより、生で見た方がいいなって思うと思いますね。

死ぬまでコントをしていたいか。

中岡 いや死ぬまではやりたくないですよ(笑い)。なんか、おばあちゃん、おじいちゃんとかなってても、自然に見られればいいと思います。自然に見られれば全然いいですけど、高齢でコントやるって、設定も限られてくる。女子高生役やるわけにはいかんやろうし、でもそれがもう本当に自然にみえたら、それはそれで最高かもしんないですね。

コカド 僕のイメージでは、若い頃、コントは若者のやることみたいなのがあったんですよ。おじさんでコントやってる人とかは、「おじさんやねんか、やめたらいいのに」って、10代で高校生のとき思っていたんですけど。それがあるから、なんかずっとコントやるっていうのも抵抗は正直あるんですけど、自分たちがその立場になってみたら、僕が思ってた「あのおじさんがやってたコントとは違うぞ」って勝手に思ったり、まだそうなってないぞっていう。客観的に見られないのかもしれないですけど、それが無理してやってる感じになるなら、やりたくないですね。(おわり)