是枝裕和監督(60)が手掛けた初の韓国映画「ベイビー・ブローカー」の俳優陣が来日し26日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われた来日記念舞台あいさつに登壇した。第75回カンヌ映画祭(フランス)で韓国人俳優初の男優賞を受賞したソン・ガンホ(55)は、来日時に空港に出迎えに来たファンの数が、劇中でパートナーを演じたカン・ドンウォン(41)より2人多い5人だったと笑みを浮かべた。一方、IUとして絶大な人気を誇るシンガー・ソングライターのイ・ジウン(29)の出迎えには、100人のファンが駆けつけたという。

ソン・ガンホは劇中で、古びたクリーニング店を営みながらも借金に追われ、匿名で赤ちゃんを置いていくことができる“赤ちゃんポスト”の赤ん坊を連れ去り、売るブローカーのサンヒョンを、カン・ドンウォンはサンヒョンのパートナーで児童養護施設出身のドンスを演じた。

ソン・ガンホは、司会のフジテレビ宮司愛海アナウンサー(30)から、コロナ禍で、なかなか来日できなかった状況を踏まえ、来日で楽しみにしていることを聞かれると「日本には、僕はかなり頻繁に来ている方だと思います。2年前にも『パラサイト』で、ポンジュノ監督とごあいさつしました。日本が大好き、日本の食事も大好きなので楽しみにしています」と語った。その上で「昨日、成田空港に着いたら…遠いですよね。羽田、金浦が復活と聞いて、うれしいんですけど」と、昨今の日韓の航空事情についても口にした。

そして、成田空港に到着した時を振り返り「IUさんは、スーパースターで空港にファンが来るだろうと聞いていた。実際、100人を超えるファンがいた。カン・ドンウォンさんには3人。私は5人。とても、気分が良くなりました」と胸を張った。それを聞いたカン・ドンウォンは「ソン・ガンホさんと昨日、この件で長く話した。ファンの皆さん、頑張って下さい」と、ファンにさらなるバックアップを呼びかけた。ソン・ガンホは「カン・ドンウォンさんは、パリから来たんですね。だから…と言うんですが、私は気分が良かったです」と、満面の笑みを浮かべた。

前日25日夜は、是枝監督と俳優陣で日本料理を楽しんだという。カン・ドンウォンは「夕食の時『空港で何人待っていた?』と聞かれて『3人ですと言ったら、俺は5人だ!』と」と、ソン・ガンホが勝ち誇っていた様子を笑いながら明かした。是枝監督は、そんな2人を見詰め「ソン・ガンホさんが、ドンウォンさんをいじって…いつも、こうなんだよね。好きなんです」と目を細めた。

ソン・ガンホとカン・ドンウォンは、登壇早々から親日ぶりを披露。ソン・ガンホは、主演映画「パラサイト 半地下の家族」(ポン・ジュノ監督)が20年の米アカデミー賞で外国語映画として史上初の作品賞に加え監督賞、脚本賞、国際長編映画賞を受賞した後に来日して以来、約2年ぶりの来日となった。登壇し、舞台正面に立つなり一礼し「こんにちは。ソン・ガンホです」と日本語であいさつ。カンヌ映画祭男優賞受賞への祝福の拍手には、深々と一礼した。

カン・ドンウォンは、伊坂幸太郎氏の小説を韓国で実写映画化した19年の映画「ゴールデンスランバー」以来、約3年ぶりの来日となった。「こんにちは。お久しぶりです。来ていただいて、ありがとうございます」と、こちらも冒頭に日本語のあいさつで客席を沸かせた。

空港で約100人超のファンが出迎えたイ・ジウンも「こんにちは。IUです」と日本語であいさつ。その上で「私も日本に久しぶりに来ましたが、空港に多くの皆さんが来て、歓迎して下さった。既に映画を見て『良かったよ』と声をかけてくださる人もいて、初日から、とても気分が良いです」と笑みを浮かべた。その上で「(客席の)前の方に泣いているファンの方がいらっしゃって…。日本に来るのが本当に久しぶりで、申し訳なく思います。私も皆さんに会いたいなと思っていました」と日本のファンへの愛を口にした。

「梨泰院クラス」などで知られるイ・ジュヨンも「皆さん、こんにちは。私はイ・ジュヨンです」と日本語であいさつ。その上で「日本の観客とお会いできる光栄な場が与えられて本当にうれしい」と語った。

この日の来日記念舞台あいさつは、韓国を代表するスターが集結したため高倍率で、入手できなかったファンや出待ちをするファンが会場周辺に多数、陣取った。また韓国メディアも、会場前でリポートを展開するなど、会場周辺には熱気があふれていた。

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