10代中盤に取材した俳優を、20代最後の年に取材すると、こんなにも感慨深いものなのだろうか…。取材しながら、そんな思いに浸っていた。

7日に東京・PARCO劇場で行われた舞台「桜の園」(8日初日、同所など)のプレスコールと初日前会見を取材した。その出演者の1人として、川島海荷(29)が登壇した。

川島は劇中で、4年ぶりに舞台に出演する主演の原田美枝子(64)演じる、女主人ラネーフスカヤの娘アーニャを演じる。ロシアを代表する劇作家チェーホフ生涯最後の戯曲を、英国の演出家ショーン・ホームズ氏と同国の劇作家サイモン・スティーブンス氏が、古典文学としてではなく現代の劇場で上演するものとしてアダプテーションした作品だが「本(台本)を読んだ時に、すごく難しい印象だったんですけども、稽古を重ねていくうちに本当に立体的になって、やればやるほど面白い作品と実感」と、ここまでの歩みを振り返った。

大人の女優として、堂々と語っている川島の話を聞いていて、脳裏に16歳の頃の顔が浮かんできた。記者は、2010年(平22)7月17日公開の映画「私の優しくない先輩」(山本寛監督)に主演した川島を取材した。当時、川島は映画1本、日本テレビ系ドラマ「怪物くん」を含む連ドラ2本、CM6本を抱え清涼飲料水「カルピスウオーター」のCMで人気を集め「カルピスの女の子」と呼ばれるようになっていた。「私の優しくない先輩」では、お笑いコンビはんにゃの金田哲(37)とのダブル主演し、初めてラブシーンとなるキスもしたことも話題となった。

取材の中で、小学6年の夏に地元埼玉から母と初めて遊びに行った東京・渋谷で、現在も所属する大手芸能事務所レプロエンタテインメントにスカウトされたことを振り返った。そして、05年9月にマネジメント契約したことなどを目を輝かせて語った。

芸能界の仕事で、一番うれしかったこと、辛かったことを聞くと、こう答えた。

「一番辛かったのは、08年のドラマ『コード・ブルー』(フジテレビ系)に1話ゲストで出させていただいたとき。病気の役だったんですけれど、実際に大きな病気になったことも入院したこともなくて、何も分からなくて、どうしたらいいの? と思いました。監督から厳しく指導されて、悔しくて泣いちゃって。うれしかったのは、今年の『ブラッディ・マンデイ シーズン2』(TBS系)のときに、(共演者やスタッフから)演技とかいろいろな面で、1と比べて成長したね、と言われたことです」

今後の仕事の目標は、次のように語った。

「もっといろいろな経験をして、女性としてもすてきな女優さんを目指します。演技は役になりきって素直に表現するもので、お芝居というより、ドキュメンタリーみたいなものだと思います。あと早く大人になりたいなぁと思うときもあります。20歳になったら、表参道でショッピングみたいな…代官山とか、まだ行く気になれないです(笑い)1人暮らしもしてみたい」

恋愛についても聞いた。

「女の子として、すごい憧れというか理想もふくらんでいくし、夢みたいな感じです。私がすごくしゃべる人なので、相づちをうちながら聞いてくれる、空気を読める人がいいですね。アピールしてくるのは引き気味になっちゃうので、計算してない、さりげない優しさがいいです」

それから、13年。29歳の川島は檀上で、唐突に「私事なんですけど」と切り出し、隣に並んでいた前原滉(30)ら共演の俳優陣を「おぉっ…」などと驚かせた。次の瞬間、笑いながら「違う、違う…そういう意味ではない。初舞台がPARCO劇場」と説明した。川島は、約10年前の13年11月から14年1月まで同劇で上演された、宮藤官九郎の作・演出の舞台「高校中パニック! 小激突!!」で初舞台を踏み、地下之チカ役を演じた。「それ以来のPARCO(劇場)。すごくうれしいし、成長した姿を見せられたらと思います」と意気込んだ。

プレスコールも見たが、檀上で3輪車に乗る姿は、13年前に取材した頃と同じように、かわいらしかった。一方で、共演陣との芝居のぶつかり合いや会見での表情、まなざしは大人の女優だった。すっかり大人になった川島を、機会があれば真正面から取材したい。今度は、大人同士として…。【村上幸将】