シンガー・ソングライター八神純子(65)がライブ「ヤガ祭り the 5th」を28日に、東京・三軒茶屋の昭和女子大人見記念講堂で行った。27日には「ヤガ祭り the 5th~前夜祭~」も行い、2日連続での開催となった。
キーボード2、ギター2、ベース、ドラムに加え、サックス、トランペット、トロンボーンのホーンズ3、チェロ、ビオラ、バイオリン2のストリングス2の13人の豪華バンドをバックに、八神自身も時折ピアノを弾いて、15分の休憩をはさんでデビュー時と変わらぬ3オクターブの音域で、32曲を4時間歌いまくった。途中、シークレットゲストの大黒摩季(53)も登場して、一緒に歌った。
オープニングは映画「2001年宇宙の旅」のテーマ曲となったリヒャルト・シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき」をバックにバンド13人が登場。最後にピンクのパンツスーツの八神が登場して「ヤガ祭りのテーマ」からスタート。
八神は「年に1度のヤガ祭り。歌いたい歌を歌いたいだけ歌う。最後まで思いっきり、ゆっくり楽しんでください。ヤガ祭りは古い歌から新しい歌まで、いろいろ混ぜて長いコンサート。こんなわがままなコンサートは(本来)許されない、ラッキーなアーティストだと思う」と笑顔を見せた。
そして「思い出は美しすぎて」「思い出のスクリーン」「みずいろの雨」「ポーラスター」「Mr.ブルー~私の地球」とヒット曲を連続して歌唱。
そして「今回のヤガ祭りでは、今までやったことないことをやってみようと思いました。私は今から2年半前に『TERRA(テラ)』というアルバムを出しました。ラテン語で地球という意味です。あの頃からグローバルウォーミング(地球温暖化)が言われていた。それがグローバルボイリング(地球灼熱化)と言われるようになってきた。このままではUターンできなくなってしまう。何か変わらなければいけない。ウクライナの戦争は終わりが見えないし、ガザの紛争が始まった。経済も健全じゃなく、誰もが不安」と話した。
さらに「この『TERRA』を歌うことは、私にとって深い意味があり、使命じゃないかと思っています。プロモーション(映像)ではなく、短編の映画を撮ろうと日本全国、海外で撮影をしてきました。もしかしたら私の音楽人生は、この歌のためにあったのかも。映像で表現しました。11分ある組曲です」とスクリーンに映像を映し出して「TERRA」を歌った。
15分間の休憩後は「第2次世界大戦の沖縄戦で戦ったひめゆり舞台で生き残った方から直接、話を聞いて『戦争は絶対にいけない、何があっても生きるのです』という言葉をもらった」と話してピアノの弾き語りで「ひめゆりの丘」を歌い上げた。
そして、1992年(平4)のアルバム「メロウ・カフェ」の全10曲を熱唱。「売れなかったけど、とっても好きなアルバムです。全曲聴いていただきました。ぜひとも知って欲しいアルバムなのでうれしい」と笑顔を見せた。
ここで「今日はスクリーンに映像を映して、ヒット曲もバーッとやりました。でも、ヤガ祭りにはもう1つ名物があります」と話すと、大黒摩季が登場。2人で、大黒の95年のミリオンヒット「ら・ら・ら」を熱唱。平均年齢60歳近い2000人の観客が総立ちで手を振った。
大黒は「バックコーラスからたたき上げて、しぶとく30周年を迎えて良かった。プチ八神純子、ずっと完コピしていました」。八神は「お会いした時、真っすぐで心のなかのことを口にして、とってもアメリカン。(ゲストを)お願いしたら、快く今日来てくれました。一緒に歌える新しい歌を作りました」と、新曲「My friend My proud」を一緒に熱唱。
大黒は「天才! 他人に曲をプレゼントしてもらうのは初めてで、すごく感動しました」。そして「パープルタウン」をデュエットして締めくくった。
最後に八神はアンコール5曲を披露。最後は「明日の風」を歌って「生きて行くことに喜びを見いだすには、苦しんでいる時にどれだけ楽しめるかが大事。音楽、歌うことが、それを教えくれた。65歳になって分かりました。ありがとうございます」と笑顔で締めくくった。
八神は1978年(昭53)に「思い出は美しすぎて」でデビュー。昨年6月には米国「女性ソングライターの殿堂」で、日本人初の殿堂入りを果たした。“ライフワーク”に位置付けている「ヤガ祭り」は「歌いたい歌を歌いたいだけ歌う」をテーマに、昔のヒット曲から普段のコンサートでは披露しない曲、最新の歌までを歌い尽くす。
ヤガ祭りは、17年(平29)1月に第1回が行われ、昨年の「the 4th」まで全て東京・渋谷Bunkamura「オーチャードホール」で開催されていた。今回は同所の改修工事のため人見記念講堂で、しかも5回目にして初めて2デイズでの開催となった。新しい会場となった人見記念講堂は80年(昭55)の開館当初から「クラシックの名門ホール」「都内有数の優れた音響」として知られる。20年(令2)に老朽化による大規模改修が始まり、昨年3月にリニューアルオープンした。【小谷野俊哉】
◆八神純子(やがみ・じゅんこ)1958年(昭33)1月5日、名古屋生まれ。74年ヤマハポピュラーソングコンテストで「雨のひとりごと」が優秀曲賞に。同曲でプレデビュー。78年「思い出は美しすぎて」でデビュー。同年「水色の雨」がヒット。79年「ポーラスター」。80年「Mr.ブルー」「パープルタウン」がヒットし、NHK紅白歌合戦出場。87年に米ロサンゼルス移住。00年のクリスマスコンサートを最後に、日本でもコンサート活動中止。11年日本でのコンサート活動再開。16年コンサートツアー「キミの街へ」開始。17、18、21、22、23年「ヤガ祭り」開催。



