歌手市川由紀乃(49)が5月19日に、ソロコンサート「ただいま!」を埼玉・越谷市のサンシティ越谷市民ホールでスタートさせた。
卵巣がんの治療のため昨年6月7日に休業を発表。6時間に及ぶ摘出手術と、5カ月間の抗がん剤治療に耐えて、帰って来た。
ソロコンサートはほぼ1年ぶり。すでにテレビの歌番組などで活動を再開しているが、この日を待ちわびた約1600人のファンで超満員となった。
コンサートは尊敬する美空ひばりさんの「終わりなき旅」で始まった。「命咲かせて」など自身のヒット曲はもちろん、昭和歌謡コーナーや芝居仕立ての短編歌物語などで、ファンを楽しませた。当初は体力が心配されたが、約2時間、17曲を見事に歌いきった。
今も2カ月に1度、検査を受けている。大病を経験し、「誰かのために役に立つ人間になりたい。病気と闘っている方、ご家族、友人の背中を押してあげられる活動をしたい」と決意している。
この日、市川の発案で会場に募金箱が置かれた。がんを患った本人だけでなく、家族や友人などがんの影響を受けるすべての人が交流し、サポートを受けられる認定NPO法人「マギーズ東京」(東京・豊洲)の支援のためである。
「マギーズ東京」は、イギリスで1996年からがん支援を続けている「マギーズキャンサーケアリングセンター」の日本で初めてのセンター。16年に開設された。
建物は自然豊かな環境にあり、建物もゆったりとした時間を過ごせるように工夫されている。看護師や心理士、保健師、栄養士などの専門家がいて、じっくりと話を聞き、一緒に考える体制を取っている。
「ストレスマネジメント」「食事や栄養」「メークや脱毛・頭皮ケア」など、ニーズにあったグループプログラムもある。
同所は無料で利用できるように、賛同する多くの方の支援によって運営されているという。
今後の「ただいま!」のコンサート会場にも募金箱を置くという。
市川は「(病気になり)喜怒哀楽の喜びと楽しみが抜けた期間がありました。自分らしくいられない期間がありました。でもファンのみなさま、この世界(歌謡界)の諸先輩やスタッフの方々が支えてくれました。もちろん母の存在もあります。その恩返しの気持ちも込めて活動していきたい」と話した。
新曲は「朧(おぼろ)」(作詞・松井五郎、作曲・幸耕平、編曲・佐藤和豊)。朧とは、ぼんやりとかすんでいるさまを言う。
たとえ先の見えない世でも、愛を信じて生きる強い女を歌い上げる。
当初、復帰作はバラードなど静かな曲が考えられたが、市川自ら「力強さを感じる新曲にしてほしい」と願った。「病気で未来が朧になることもありましたが、私は攻めたいんです。強い気持ちを歌にしてほしかった」という。まさに、これからの市川の決意を示す新曲である。【笹森文彦】



