藤原季節(32)が、日本にも旧石器文化があったことを証明した考古学者・相澤忠洋さんを演じる主演映画「赤土に眠る」(金子雅和監督、27年春公開)の製作が、このほど発表された。相澤さんの若き日の奮闘を描く作品で、相澤さんが1946年(昭21)に関東ローム層から槍先型尖頭器を発見した岩宿遺跡がある、群馬県新田郡笠懸村岩宿、現みどり市で10月からクランクインする。16日に同市の岩宿博物館で製作発表会見が開かれた。
藤原は、相澤さんが赤土の中から発見した石を東京の学者に認めてもらうために、東京から群馬までの往復200キロを自転車で行き来していた事実に基づき、東京から自転車で移動し、駆けつけた。「僕も片道10時間くらいかかったんですけど、今より舗装されていない道路の上を重たい自転車で相澤さんも何時間もかけて移動して、相澤さんがどんな景色を見て、何を考えて生きてきたのかということを、少しでも正しく伝えられたらと思っています」と役作りの一環だったと明かした。金子雅和監督は「ここに車で昼くらいに来たんですけど、プロデューサーの方が入り口のところで自転車に乗っている若い方と話していて。あれ? っと思ったら自転車に乗っていたのは藤原季節さんで。驚いたことに今日、藤原さんは東京から自転車でやってきたということで、相澤さんの役をやるということに対して、それだけの思いを持って今日、挑んでくださっていると知って、驚きと感動しました」と感激した。
主演への思いを聞かれると、藤原は「何で自分なのか? と。北海道札幌市出身で、群馬県にも縁や、ゆかりがあるわけでもなく、これまで黒曜石だったり、遺跡というものに深い興味を示したわけでもない自分が、相澤忠洋さんという役を演じることに違和感というか」と笑った。その上で「もっと適した人間が日本のどこかにいるんじゃないかという気持ちがありましたが、このようなご縁をいただけたということで、この縁を自分なりに育てていかないといけないって思いました」とオファーを受けるに至った心中を明かした。
演じる相澤さんの印象については「自分なりに思うことがあって、脚本でも人と対話する喜びみたいなものが描かれているんですよ。相澤さんの過去の資料映像とかを見ても、お話をするのが好きな方だったのかなと思って」と評した。その上で「どうしてだろうなと思ったんですけど、自転車を10時間もこいでいると人としゃべりたくなるんですよ」と言い、笑った。役作りについては「まずはこの街に来てみて、相澤さんの姿を想像してみるというところからスタートして、実際に遺跡が発見された岩宿の切り通しに自分が立ってみて、この何の変哲のない切り通しの、赤土の壁の前に1人の青年が立って土を掘っていたんだって思ったんです」と説明した。
その上で「周囲の人間からしたら“何をやっているんだ、あいつ”と。土壁の前に立って石を掘って、きっと戦後で食べるものなくてみんな困っていた時代に石を集めて、まあ“変わり者”と呼ばれたんだろうなと。でも、その青年の姿が僕には見えるような気がして、その時にこの人を演じたいと思えて」と相澤さんを演じたくなったと振り返った。「そこからは自分にとって思い入れと呼べるものを増やしていく作業として、相澤さんが住んでいた場所に行ってみたりして、1つひとつの縁だったり思い入れを自分の中に取り込んで作業をやっている最中です」と明かした。
今年は、相澤さんの生誕100周年、相澤さんが槍先型尖頭器を発見してから80年、岩宿遺跡がある群馬県新田郡笠懸村岩宿、現みどり市誕生から20周年と岩宿博物館リニューアルのメモリアルイヤーであることから映画製作プロジェクトが立ちあがった。市制施行20周年記念事業としてみどり市が製作し、撮影は10~11月にかけて同市を中心に群馬県と周辺で行われる。
藤原は「このような大きなプロジェクトかつ、責任の伴うプロジェクトだと思うんですけど、そんな大役を自分という未熟な俳優に任せていただけて、すごく責任感を感じています」と意気込みを語った。その上で「夢中になるということや、ひたむきさをこの作品を通して伝えられたらと思っていて、夢を追うということはお金もうけのためでもなく、広い家に住みたい、かっこいい車に乗りたいということよりも前に、本当の意味で自分の夢を追うということがどういうことなのかというのを、きっと相澤さんは僕たちに教えてくれるはずなので、それを少しでも自分の肉体を通して相澤さんの精神を表現して、後世に伝えていけたらなと思っているので頑張ります」と力を込めた。



