昨年大みそか放送のNHK紅白歌合戦をもって、紅白からの卒業となった郷ひろみ(70)。昨年12月29日発売の本紙「エンタメ最前線」で掲載したインタビュー記事では、紅白への思いを語ってもらった。だが掲載当日、紅白からの卒業発表という事態となった。
インタビューを実施したのは12月上旬。この時点で公には、披露する曲も、順番も決まっていなかった。そして、ふたを開けてみれば卒業宣言。正直、形容しがたい感覚に襲われた。
それでも、発表を聞いてインタビューを思い返すと、違和感があった。それは冒頭、38回目の紅白出演が決まった時の率直な感想を聞いた時だった。この時、郷はたっぷりと間を開けると「やっぱりね、12月31日に(1年を)締めくくる番組ですから、それはもう、うれしいことはうれしいですけれど」とするとここでも間を開け「でも、それだけのことを考えてやってきているわけではないので…」と答えたのだ。
70歳の節目でもあり、そのために走り続けているのを見てきたので、違和感を覚えながらも、その言葉通りに解釈してしまった。
その違和感とは「あれ? もしかしてうれしくないのかな?」だった。おじさん記者が見てきた郷ひろみは常にポジティブだった。それがいきなりのネガティブ気味。違和感を覚えないはずがない。
だが、そこには突っ込まず、「でも、70歳という節目の年に出る紅白ですよね?」と前向きな答えを求める質問をしてしまった。今だから言えることではあるが、あの時「郷さんなら前向きなはず」という思い込みがあり、その思い込みへと導いてしまったのかもしれない。そのことを反省している。
インタビュー時点で、卒業を決めていたのかは分からない。だがインタビュー翌日、関係者に会うと「(リハの)記者会見も来たほうがいいよ」と言われた。その会見で卒業を発表。関係者も内容を言えるはずはないが、ヒントを出してくれていたと思う。そう考えると、違和感を放置した自分の愚かさに打ちひしがれたのだった。
もちろん、聞いたところで言わないとは思うが、同時に、郷ひろみの優しい人柄も感じた。“話せない”のだから、おじさん記者の話に合わせるしかない。だから、あのたっぷりの間は“おじさん記者の意向を探ろうという思いだったのでは?”と思っている。
結局、本番後も話を聞ける機会がなく、答え合わせはできていない。今後、その機会があるかも分からないが、いつか聞いてみようと思っている。それと同時に、記者としてまだまだだなと反省している。【川田和博】



