毎朝通う喫茶店でも、夜に利用するサウナ付銭湯でもそう。顔なじみに会うと必ず聞かれる。「岡田さん、どうしてますか?」。
実はよく知らんのですわ、と返すしかなかった。監督を辞めてから、岡田彰布の情報はパタッと消えた。体調がすぐれず、という話は伝わってきたが、実際にどうなのか。ようやく連絡がつき、10日間ほど入院して検査したことを知った。
ワールドシリーズが終わり、NPBもDeNAの下克上で幕を閉じた。これで2024年シーズンはすべて終了。すべての球団は2025年に向け、進みだしている。阪神は…というと監督の藤川球児が故郷の高知で、監督の第1歩を刻んだ。
そこに何か物足りなさが、とふと感じてしまった。そうだ。岡田から球児へのバトンタッチがまだなされていない。前監督の岡田はファンに別れを告げることもなく、球児にアドバイスを送ることもなく、時間だけが過ぎている。
そこで得た情報をお伝えしておく。まず岡田の今後なのだが、報道されるように球団の中でポストが用意されており、それは「名誉職」的なもの。近日中に岡田は球団と契約することが決まった。そうなれば次は岡田と球児の対面はいつになる?
「いまはリハビリやな。まったく動いてなかったから、体がなまって。ここ数日、トレーニングしたことで、体が軽くなったわ」。甲子園内の施設でトレーニングを開始。好きなゴルフもやっと始めるまでに体調は戻ってきた。
チームはいま高知・安芸で秋季キャンプの真っただ中。そこに岡田は顔を出すのか。ようやくGOサインが出た。岡田に近い関係者によると今週中にも高知に向かうことになったと聞いた。
ここ何代か、監督交代時の引き継ぎは実に味気なく済まされてきた。矢野から岡田への際も、2月のキャンプ中、知られることなく矢野が岡田にあいさつに訪れただけで終わっている。そんな繰り返しだったが、どうやら今回は趣が違うようだ。
球児はやはりかわいい教え子だ。球児に対しては悪い感情はない。希代のクローザーに育てた自負が岡田にはある。球児もまた岡田に対する恩義は強い。だから、このまま節目を迎えることなく進んでいくのは、いかがなものかと感じていたが、やっとファンの前で2人の対面が実現する。
確かめたくて岡田に連絡した。「ああ、高知に行くわ」とあっさりと返ってきた。今月67歳になる前監督から、44歳の新監督への正式なバトンタッチ。そこで岡田は「監督業」の極意を伝授する。かつてベンチとマウンドの間で築いた深い絆を、改めて確認する時がくる。球児にとって、有意義な時間になるのはいうまでもない。【内匠宏幸】(敬称略)




